年頭のごあいさつ
宮崎県漁船保険組合 組合長理事 松浦 和繁
松浦 和繁
様あけましておめでとうございます。本組合の業務に関しましては過ぎ去りました1年を顧りみますと昨年も色々なことがありました。
 まず昨年は当組合にとって設立75周年の記念すべき節目の年でございました。即ち、昭和12年6月1日漁船保険法(法律第23号)が施行されるや、直ちに組合設立準備にかかり昭和13年3月23日に設立されましたので、昨年組合創立75周年を迎えることが出来ました。この間、幾多の困難を克服しつゝ、漁船保険制度は漁船(船体)、積荷、船主責任(賠償)保険に新たに任意保険(転載積荷、プレジャーボート責任保険)を加えて漁業者のための総合保険として発展してまいりました。
 しかしながら現在我が国の漁業を取り巻く環境は厳しく、これを受け漁船保険事業も漁船隻数の減少や付保漁船の高船齢化など厳しい状況に置かれています。
 このような中にあって平成23年3月に発生した東日本大震災では、全国で被災した漁船は2万隻を超え、支払われた保険金は485億円に上りました。漁船保険業界ではこの震災の教訓を踏まえ漁業経営のセーフティネットとして将来に亘り安定した保険事業を継続していくため平成29年度に全漁船保険組合(45組合)と漁船保険中央会を統合した一元化組織とすることを目標として具体的に議論を深めており、当組合に於いても6月18日開催の総代会にて全国一元化組織の設立を目指すことを決議致しました。
 よって平成25年度に於いては、これ等一元化の行方を注視しつゝ引き続き「稼働動力漁船の全船加入と船主責任保険の危険率に応じた高額付保、漁船事故防止の徹底した対策、特に人身事故の絶無と救命胴衣の着用の励行、並びに保険金の早期支払い」を最重点施策としまして業務を推進いたしました。
 また、漁船の高船齢化(引受隻数の78%が船齢20年以上)が進んでおり、事故防止事業として、漁船機関並びに電気設備整備点検事業を実施すると共に、3年間無事故継続加入漁船に対して無事戻金等318隻、768万円を交付し更なる無事故奨励を進めてまいりました。
 この結果平成25年度の引受実績は2,270隻、231億円と前年実績に比べ隻数に於いて55隻(2.36%)、引受金額に於いて10億円(4.13%)それぞれ減少いたしております。
 一方漁船事故は依然といたしまして、自動操舵装置などの航海計器類に頼り過ぎ見張りを怠り衝突、座礁する運航上の不注意による事故の他、高船齢化に伴う火災事故等乗組員の人命にも拘りかねない危険な事故も発生しています。特に10月27日には日向市日向岬沖合に於いて夫婦2人がイセエビ建網作業中、海中転落し殉職されるなど、前年度海中転落事故等で6人もの尊い犠牲者を出したことはまことに痛恨の極みであります。
 よって今後共この種事故の再発防止と操業の安全につきまして指導してまいりたいと存じますので、皆様方の絶大なるご指導ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 以上平成25年度の業務執行の状況につきまして申し述べましたが次に新年度に実施いたします主なる事項につきまして簡単にご説明申し上げます。
 まず新年度は3年毎に行います漁船保険料率改正の年になっておりますので目下、その試算中でありますが、本県の場合在籍漁船の減少に伴う加入状況の悪化に加え料率の算定期間(平成14年度〜23年度までの10年間)中、組合員の皆様が負担された徴収保険料42億5,800万円、これに対し支払われた保険金は44億8,100万円と2億2,300万円支払い超過している状況ではございますが、組合員の皆様方も大変厳しい漁業環境下にありますところから今回も従来どおり最低であります再保険料率と同率とし組合員負担の軽減に努力する所存でございます。
 なお付加保険料率につきましても組合員負担の軽減の為前回同様今回も経費の節減に努め引き上げをせず据え置くことといたしておりますので何卒ご了承賜りますようお願い申し上げます。
 その他船主の皆様方の諸種の負担を軽減するため実施されています、船主責任保険、積荷保険等につきましても、その趣旨に副い普通保険と併せ普及に努めると共に前年度同様「稼働動力漁船の全船加入、漁船事故防止、保険金の早期支払い」に努め漁船事故による損害の復旧と船主等の諸種の負担を軽減して漁業経営の安定に資するという本組合の使命達成のため全力を尽す所存でございますので、何卒皆様方のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 年頭にあたりまして皆様のご健康と操業の安全並びに豊漁をお祈り申し上げご挨拶といたします。
GREETING