一つは、各地の浜における生産体制強化・構造改革に向けた取組の支援です。各浜ごとの課題を整理し、漁家所得の向上を目的に対応の方向を明確化することにより、その浜における各種施策実施の指針として用いる「浜の活力再生プラン」の策定を新たに支援します。また、計画的に資源管理・漁場改善に取り組む漁業者を対象にした収入安定対策と、燃油等の価格高騰対策を組み合わせた「資源管理・漁業経営安定対策」を引き続き実施します。さらに、比較的規模の大きい沖合・遠洋漁業の構造改革は進んできていますが、規模の小さい沿岸漁業の構造改革の取組も進める必要があることから、漁業構造改革総合対策事業(いわゆる「もうかる漁業」事業)について、沿岸漁業の実態に応じた支援メニューの追加等を行います。これまで宮崎県では、主要産業であるかつお一本釣り、まぐろ延縄で各1件に加え、まき網漁業において、合計3件の「もうかる漁業」プロジェクトが認定されておりますが、引き続き本事業を活用いただき、さらなる発展に取り組んでいただければ幸いです。
二つは、水産業の輸出体制強化に向けた戦略的取組の支援です。昨年8月、水産物の国別・品目別輸出戦略を策定し、2020年までに我が国水産物の輸出額を現状の倍増の3,500億円とする目標を設定しました。その実現に向け、原発事故に伴う輸入規制の緩和・撤廃要請等の輸出相手国への働きかけ、日本の魚のブランディングなどを行います。また、輸出先国のHACCP取得促進のため、輸出先国の基準に対応した水産加工施設の改修整備を支援するとともに厚生労働省と連携し、輸出に係る迅速な衛生証明書発給体制の整備等を行います。水産物の流通拠点漁港において、衛生管理の高度化を図るため、鳥獣進入防止対策、清浄海水の導入をはじめ、岸壁、荷さばき所等を一体的に整備します。
三つは、浜と食卓の結びつきを強化し、国産水産物の生産・消費拡大を図る取組への支援です。魚を気軽に手軽においしく食べられる「ファストフィッシュ」商品の選定など、水産物の消費拡大の取組を推進する「魚の国のしあわせ」プロジェクトを今後とも展開します。消費者ニーズを的確に捉えた商品開発、販売ニーズや産地情報の共有化等、需要サイドと供給サイドをつなぐ取組も引き続き支援します。また、養殖業の多様化と高い生産性を実現する次世代型陸上養殖の技術開発に取り組みます。
次に、東日本大震災からの復旧・復興への対応であります。
東日本大震災からの復旧・復興については、これまでの取組により、概ね計画どおりに復旧が進んでおり、今後とも、地域の皆様と話し合いながら、農林水産業の一日も早い復旧・復興に全力で取り組んでまいります。
原発事故への対応については、放射性物質の吸収抑制対策を徹底しつつ、放射性物質検査の実施への支援や風評被害対策を引き続き進めます。また、避難指示区域等における営農再開に向けた取組も支援してまいります。さらに、諸外国による日本の農林水産物・食品の輸入規制についても、科学的根拠に基づき、早期に緩和・撤廃するよう引き続き働きかけてまいります。
以上、年頭に当たり、今後の政策展開を中心に私の所感の一端を申し述べました。
昨年、宮崎県のみならず全国の漁業者の代表として長年尽力された丸山前会長が誠に残念ながら逝去されました。前会長の想いを政策に反映させるよう努力してきたつもりでありますが、決して十分ではないと承知しております。宇戸田新宮崎県漁連会長のご指導の下、引き続き浜の立場に立って政策を実現していくよう努力して参る所存です。
今後とも農林水産行政の推進に当たり、皆様の御ご理解と御協力を改めて申し上げ、結びとさせていただきます。 |