年頭のごあいさつ
さらに、燃油価格の変動、魚価の低迷等によって、漁業の経営は厳しい状態が続いています。このため、平成二十三年度予算において、資源管理・漁業所得補償対策を盛り込みました。この資源管理・漁業所得補償対策は、計画的に資源管理や漁場の改善に取り組む漁業者を対象とする、漁業共済と積立ぷらすを活用した新たな「収入安定対策」と、漁業経営に大きな影響を与える燃油等の価格高騰に備えた「コスト対策」とを組み合わせることで、総合的な所得補償制度としたものです。
 また、「補助から融資へ」の流れを踏まえて、設備資金や運転資金について利息が最大で無利子となる支援を行うとともに、無担保・無保証人での融資の充実に努める等、漁業者への融資や保証の支援を強化します。
 第二に、漁業・漁村の六次産業化の推進と水産物の消費拡大のための施策です。水産物の付加価値の向上や漁家の所得向上のため、漁業者が水産物の生産のみならず加工・販売にまで進出する漁業・漁村の六次産業化の取組を支援します。また、水産加工業その他異業種と漁業者の連携による新商品の開発、販路拡大の取組みについても、引き続き支援します。さらに、HACCP導入支援による衛生管理体制の強化等により、新鮮で安全な国産水産物を消費者に届け、水産物の消費拡大を図ります。
 第三として、漁村の活性化のための施策です。漁村における生活環境の立ち遅れや漁村集落の人口減少・高齢化に対応して、六次産業化の促進による所得・雇用の確保に加え、防災力の強化や生活環境の向上による安全で活力ある漁村づくりを推進するとともに、離島漁業再生の取組を促進します。
 第四に、水産業に関する技術開発と増養殖の振興のための施策です。水産業に関する技術開発としては、赤潮や有害生物による漁業被害の防止、漁船の海難事故を減少させるための漁船の安全性の向上、収益性の高い操業・生産体制への転換を促進する省エネルギー化等の技術開発に関する取組を支援します。また、水産資源の保護のための施策として、資源評価の精度を高めるための調査研究、養殖用種苗の採捕量が減少しているウナギや国際的に漁獲量が制限されているクロマグロ等の重要な水産生物の供給を確保するための増養殖の振興を促進します。
 最後に国際交渉についてです。世界的な漁業生産量の増加に伴い、国際的な漁業資源の管理が重要な問題となっており、例えば、マグロについては各国によって設立された地域漁業管理機関が資源管理を行っています。漁業に関する国際的な交渉については、今後とも、科学的根拠に基づく資源管理が重要であるとの立場から交渉に臨んでまいります。
 このような施策の推進により、我が国水産業及び漁村の更なる発展に努めてまいりますので、御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
 最後に、皆様方の御健勝と御活躍を祈念申し上げまして、私の新年の御挨拶とさせていただきます。
宮崎県知事 東国原 英夫
東国原 英夫
んで新年のお慶びを申し上げます。
県民の皆様には、平素より県政の推進につきまして温かい御支援、御協力を賜り、心から感謝申し上げます。
 昨年は、本県で10年ぶりに口蹄疫が発生し、畜産や関連産業、さらには観光や物産、流通等、本県のあらゆる分野に甚大な被害を及ぼしました。
 あらためて、被害に遭われた皆様に対し心から御見舞い申し上げますとともに、終息に向けて御尽力いただいた関係各位、温かい励ましや御支援をいただいた県内外の皆様に対し、心からお礼申し上げます。
 さて、本県水産業につきましては、長年に渡って日本一の生産量を誇る近海かつお一本釣りや沿岸まぐろはえ縄漁業のほか、まき網漁業や養殖業、内水面におけるウナギやコイなどの養殖業など、全国でも有数の生産量を誇っており、地域の主要産業であるとともに、我が国における水産物の安定供給の一翼を担っております。
 しかしながら、資源の減少に伴う漁獲量の減少や国際的な漁獲制限、魚価の低迷、先行き不透明な燃油価格の動向など、漁業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあり、消費者の魚離れによる水産物消費量の減少も急速に進行しております。
 また、平成20年における本県の漁業就業者のうち24.6%が65歳以上と、10年前に比べ約6%も上昇しており、新規就業者の確保が急務となっております。
 このような状況に対応するため、県におきましては、適切な管理による資源の維持・回復を図りますとともに、省エネ型漁船の導入や操業方法の改善等による操業コストの削減、みやざきブランドの確立や多様な販路の構築等による魚価や付加価値向上への取り組みの支援等、漁業所得の確保に向けた施策を積極的に推進しているところです。
GREETING