年頭のごあいさつ
 次に、もう一つの重要課題であります漁業共済団体の組織再編に関しまして、現状をご報告しておきます。振り返りますと、平成8年から平成10年の間、水産庁に「漁業保険問題研究会」が設置され、組織の簡素・合理化等について検討がなされたのが、組織再編問題のスタートでありました。その後、全国漁業共済組合連合会(漁済連)に「組織問題等委員会・組織問題検討協議会」を立ち上げて具体的な議論を積み重ねてまいりました。平成18年10月には、全国で7つの漁業共済組合が合併して、全国合同漁業共済組合を設立。そして、平成20年からは、第2次にわたる広域合併に向けた推進が実を結びまして、平成21年10月1日付けで1都2府17県の20に及ぶ共済組合の大規模な合併が実現いたしました。本組合におきましても、漁協系統の推進する「県1漁協構想」がどのように推移していくのか、今後の動向を注視しつつ、確固たる経営基盤の構築にも意を用いて対処してまいります。
 今後とも、新たな全国運動「ステップ・アップぎょさい」を通じて多くの漁業者の方がたが「ぎょさいに加入」してくださることを願っております。
 終わりに、皆様のご健勝と航海の安全・大漁を心からご祈念申し上げます。
宮崎県漁船保険組合 組合長理事 岩切 正次
岩切 正次
様あけましておめでとうございます。
本組合の業務に関しまして過ぎ去りました1年を顧りみますと昨年もいろいろなことがありました。
 まず経済、社会、そして政治が目まぐるしく変化している中で、漁業を取り巻く環境は魚価の低迷、漁業資源の減少等厳しく、漁船保険事業も漁船隻数の減少、漁船の高船齢化など依然として厳しい状況に置かれております。このような中にあって平成18年6月に制定された行政改革推進法に基づいて、昨年3月に「農業共済再保険特別会計及び漁船再保険及漁業共済保険特別会計」については、それぞれの勘定を区分し統合され「農林漁業再保険特別会計」(仮称)へ衣替するとの方針が示されましたが、その後9月の政権交代により見直しされ本年4月の統合は見送られることとなりました。
 次に、保険業務につきましては、昨年、前年度に引き続いて船主責任保険(基本損害)の保険料を引き下げるため年度末に総代会を開催してこれを議決し農林水産大臣の認可を受け4月1日から新料率を適用いたしました。この改正によりまして全トン数階層で平均13.1パーセント(前年度は同14.01%)の引き下げを行いました。漁業情勢が厳しいなか、2年連続して料率を引き下げ組合員に有利になるよう改正いたしました。
 その他毎年3年間無事故継続加入漁船に対し漁船保険中央会から助成を受けた報償金と当組合からの無事戻金を併せて320隻、938万円を交付し無事故奨励を進めてまいりました。
 また、漁船保険業界では将来に向け安定した保険事業を継続するため漁船保険の再編に取り組んでおります。特に平成19年4月には府県域を越えて5つの漁船保険組合が合併し、全国広域漁船保険組合の設立が実現いたしました。漁船保険組合の見直しにつきましては、組織の一元化を含め効率的な漁船保険団体のあり方について中央会の委員会において専門的な調査研究を進めております。
 よって、平成21年度に於いては、これ等の行方をも注視しつつ、従来からの方針を踏襲いたしまして、引き続き「稼働動力漁船の全船加入と船主責任保険の危険率に応じた高額付保、漁船事故防止の徹底した対策、特に人身事故の絶無と救命胴衣の着用の励行、並びに保険金の早期支払い」を最重点施策といたしまして業務を推進いたしました。
 この結果、引受実績は2,420隻、254億円と前年度実績に比べ隻数に於いては63隻(2.53%)引受金額に於いて14億円(5.22%)減少いたしております。これは、昭和62年度以降、23年間連続して在籍漁船が減少したことによるものでありますが、付保率につきましては、前年度同様100パーセントを堅持することが出来ました。
 また、漁船船主責任保険の基本損害の引受につきましても、危険率に応じました高額付保(責任制限額5億4,000万円)につき力を尽しました結果、1隻当たりの平均付保金額は、2億9,000万円と所期の目的を達成することができました。
 一方、漁船事故は心配されました台風の直接の来襲も幸いになく、台風による被害はほとんどありませんでした。しかしながら外国のコンテナ船に衝突され船体が真二つに切れ全損となる事故等、自動操舵装置などの航海計器類に頼り過ぎ見張りを怠たり衝突、座礁する運航上の不注意による事故等乗組員の人命にも拘りかねない危険な事故も発生いたしていますところから、組合員及び乗組員の皆さん等を対象にした海難防止講習会を県下各漁業協同組合のご協力を得て12会場(約520名)に於いて開催し事故防止に努めました。
 また9月には台風8号で大きな被害を被った台湾から流出したとみられる流木が日向灘等の海域で多数発見され、これら流木と衝突、接触し船体、プロペラ、ソナー振動子等を損傷する事故が1.5ヵ月で31隻、概算損害額3,300万円発生いたしました。これ等を含め今後とも、漁船の事故防止と人身事故の絶無につき指導してまいりたいと存じますので皆様方の絶大なるご協力を賜りますようお願い申し上げます。
GREETING