増殖部の産業賞は、「新型藻礁の開発により、消滅した藻場2ヘクタールを回復させた」に対する評価で、藻場は海洋環境の変化等により全国的に減少しており、この減少が本県でも大きな問題となっていることは周知のとおりです。
本県の藻場は、昭和53年に1,076haあったものが、平成12年には40%程が消滅し、656haとなったという調査結果があります。
同部では、平成3年から藻場減少の原因究明や海藻種苗の育成技術の開発、海中への展開方法の試験研究を行っており、これまでに、ウニと魚類の食害が日向灘の藻場減少の大きな原因の一つであることを明らかにし、更に、そのうちウニによる食害を抑制する曲面型藻礁を開発しました。
この結果、平成6年に消滅が確認された門川町沖の藻場約3.5haのうち、2haを復活させることができました。
藻場回復のための試験研究は全国で実施されていますが、実際に成功した例は数例しかなく、特に大型海藻であるクロメの、この規模での造成は全国でも希であります。
今回、開発した曲面型藻礁は平成19年9月に実用新案登録するとともに、その成果は、平成20年3月の日本藻類学会でその結果を発表しています。 |
1 藻場の消滅の現状 |
本県における藻場の減少の原因は、植食性生物であるウニやアイゴなどの魚類による食圧と海藻の生育のバランスが損なわれたためと考えられます。
近年、日向灘の冬季水温が以前より1℃ほど上昇しており、植食性生物の摂餌行動が活発となり食圧が高まっていると考えられます。 |
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2 水産試験場で開発した藻礁 |
形状の特徴:ほぼ立方体のコンクリトーブロックで、天井部分が、緩やかな曲面となっています。
効果:曲面の天井部分は、ウニが滞在し難く、このため定着したクロメは食べらません。更に、曲面部の天井には種糸(クロメの芽を培養した糸)を装着しますが、着面との隙間がなく、クロメの活着率が良好です。 |
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3 実証試験により復活した藻場 |
約3haのクロメ藻場が確認されていた門川町乙島沖は、平成6年には消滅していました。
平成16年から種々の形状をしたブロックを実験藻礁として設置しましたが、成果が得られませんでした。
そこへ、ウニの食圧を排除できる今回のかまぼこ状の藻礁を設置したところ、平成19年2haの藻場が回復しました。
再生した藻場の周辺には、この藻場から広がったと推測される幼体が4.2haの海域に分布しています。
今回の受賞は、漁業者の皆様を始めとする関係者の皆様方の試験研究に対する御理解と御協力によるものと深く感謝し、紙面を借りてお礼を申し上げます。 |
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11日 |
漁連・漁協のイセエビイベントに伴う表敬訪問(宮崎市) |
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