水産試験場
平成20年下半期の長期漁海況予報について ―資源部―
回は、平成20年7月29〜30日に開催された太平洋イワシ・アジ・サバ等長期漁海況予報会議の結果について紹介します。

【海況】

予測(平成20年8〜12月)
[黒潮] ◆薩南海域の黒潮北縁は、屋久島南付近に位置し、11月に北上して接岸傾向となる(予報会議予測)。
◆黒潮は、8月は例年より離岸傾向(分類上は「かなり離岸」、「著しく離岸」に該当)、9月から12月までは概ね接岸傾向(「接岸」、「やや離岸」に該当)で推移するが、10月初旬に若干離岸傾向になる可能性もある(宮崎水試予測)。
[沿岸域] ◆潮岬以西では、黒潮流軸の離接岸変動に伴って、一時的に暖水が波及することがある(予報会議予測)。
[沿岸水温] ◆予測期間を通して、例年より高めで推移するが、10月初旬には若干低めになる可能性もある(宮崎水試予測)。
経過(平成20年1〜7月)
[黒潮]
(都井岬南東沖)
◆宮崎県都井岬南東沖の黒潮流軸は、2008年4月初めは約30マイル以内の「接岸」傾向であったが、4月中旬から「やや離岸」となり、その後徐々に離岸し、6月初旬には「かなり離岸」、6月中旬以降は70マイル以上の「著しく離岸」となった。
[沿岸水温] ◆沿岸海洋観測による日向灘の水温は、平年値(1973〜2006年度平均)と比べて、4月から7月までを順に「やや高め」、「かなり高め」、「やや高め」、「平年並」で推移した。水深毎でみると、0m深では4〜7月の順に「平年並み」、「かなり高め」、「やや高め」、「平年並」で推移し、50m深では4月に「やや高め」、5月及び6月に「かなり高め」、7月に「平年並」となり、100mが4月及び5月に「かなり高め」、6月に「やや高め」となり、7月に「平年並」で推移した。4月の0m深を除いて4月〜6月は各観測期間及び各観測層とも「平年より高め」で推移し、7月に全層で「平年並」となっている。

【漁況】

[マイワシ太平洋系群]
予測(平成20年8〜12月) 北薩〜熊野灘
◆来遊量
 全体として0歳魚、1歳魚とも前年を下回る。
◆漁期・漁場
 期を通じて。来遊量が少ない海域では9月まで。
◆魚体
 12〜18cmの0歳魚主体。熊野灘では18〜19cmの1歳魚と13〜16cmの0歳魚。
経過(平成20年1〜6月、図1)
◆1月の漁獲量は346トン(前年比81%)であったが、3〜4月は僅か7トン(前年比3%)であり、加入群(当歳魚)が主体であった5〜6月も前年を大きく下回った(前年比11%)。
◆まき網の漁獲サイズは、5月で9cm台、6月で10〜13cm台にモードがみられた。
[カタクチイワシ太平洋系群]
予測(平成20年8〜12月) 北薩〜豊後水道
◆来遊量
 北薩・薩南では前年を上回る。日向灘〜豊後水道では前年を下回る。土佐湾から紀伊水道外域ではまとまった漁獲がない。
◆漁期
 全期間。
◆魚体
 10〜12cmの1歳魚および9cm 以下の0歳魚。
経過(平成20年1〜6月、図2)
◆1〜4月の漁獲量は125トンで、2〜3月に大羽(12cm以上)の来遊がみられた前年比6%と低調な漁況であった。10〜11cm台が主体となった6月の漁獲量は豊漁であった前年は下回るものの前年、一昨年同期を上回った。
◆定置網の漁獲サイズは、3月で7〜9cm台(12cm以上の大羽も若干みられた)、4月で8〜10cm台、5月で10〜11cm台であった。まき網の漁獲サイズは、6月で10〜11cm台主体に7〜9cm台であった。
FISHERIES EXPERIMENT