水産試験場
平成19年下半期の長期漁海況予報について ―資源部―
回は、平成19年12月17〜18日に開催された太平洋イワシ・アジ・サバ等長期漁海況予報会議の結果について紹介します。

【海況】

予測(平成20年1〜6月)
[黒潮] ◆薩南海域の黒潮北縁は、屋久島南付近での変動が多く、5月に接岸傾向、6月に離岸傾向となる(予報会議予測)。
◆黒潮は、1〜4月は都井岬沖〜潮岬沖で接岸傾向で推移し、5月に都井岬沖で小蛇行が形成される(予報会議予測)。
◆日向灘では一時的に「接岸」も見られるが安定せず、1月から4月は「接岸」から「かなり離岸」、5月から6月は「かなり離岸」から「著しく離岸」で推移する(宮崎水試予測)。
[沿岸域] ◆潮岬以西では、小蛇行の発生に伴って、日向灘〜豊後水道外域〜土佐湾では一時的に暖水が波及することがある(予報会議予測)。
[沿岸水温] ◆潮岬以西は「平年並み」〜「高め」で推移する(予報会議予測)。
◆日向灘では1月から4月は「平年並み」から「やや高め」、5月から6月は「平年並みから「やや低め」で推移する(宮崎水試予測)。
予測(平成20年1〜6月)
[黒潮]
(都井岬南東沖)
◆都井岬南東沖における黒潮流軸は、平成19年7月には30マイル前後の「やや離岸」、一時的に「かなり離岸」となるが、9月中旬まで「接岸」から「やや離岸」で推移した。9月中旬以降は、離岸傾向となり50マイル前後の「やや離岸」、10月上旬には75マイルの「著しく離岸」となった。10月下旬から11月上旬は40〜50マイルの「やや離岸」〜「かなり離岸」で推移した。11月下旬から12月上旬は接岸傾向で推移した。
[沿岸水温] ◆沿岸海洋観測における日向灘の水温は、0mでは、8月は台風の影響もあり「やや低め」となったが、9月には「かなり高め」となり、10月は「著しく高め」で推移した。11月は「平年並」(観測月中旬)となった。50mでは、7月は「やや低め」、8月は「平年並」、9月は「やや高め」、10月は「かなり低め」で推移した。11月は「平年並」となった。100mでは、7月は「かなり低め」、8月は「平年並」、9月は「やや高め」、10月は「かなり低め」で推移した。11月は「平年並」となった。

【漁況】

[マイワシ太平洋系群]
予測(平成20年1〜6月) 北薩〜熊野灘
◆来遊量
 前年を上回るか前年並み。熊野灘では依然低水準。
◆漁期・漁場
 期を通じて漁獲される。
◆魚体
 16〜22cm(1歳魚主体で2歳魚が混じる)。後半には14cm以下(0歳魚)が加わる。
経過(平19年8〜12月、図1)
◆6月〜7月の漁獲量2,723トン(当歳魚)からは減少したが、前年を上回った。
◆まき網の漁獲サイズは、8月〜10月で15cm台モードであった。
[カタクチイワシ太平洋系群]
予測(平成20年1〜6月) 北薩〜豊後水道
◆来遊量
 北薩・薩南および日向灘では前年を下回る。豊後水道では前年並みか前年を上回る。
◆漁期・漁場
 全期間。
◆魚体
 12cm以上の2歳魚は少なく、12cm未満の1歳魚主体。
経過(平成19年8〜12月、図2)
◆日向灘における漁況の特徴として、8月以降の漁獲量は低調に推移する傾向があり、当期も6月〜7月の漁獲量3,859トンから減少し、その後低調に推移した。
◆まき網の漁獲サイズは、8月で10cm〜11cm前半にモード、12cm以上の大羽もみられた。
FISHERIES EXPERIMENT