水産試験場

3. 漁場環境調査結果

殖漁場の環境調査は北浦湾、尾末湾及び串間ビンダレ漁場において5、8、11、2月に4回、熊野江・須美江・浦城・土々呂においては8〜9月に1回の調査を実施しています。
 水質調査では、水温、DO(溶存酸素)、COD(化学的酸素要求量)、DIN(無機態窒素)、リン酸態リン等の調査を行っています。全調査点で顕著な悪化はみられませんでした。
 次に底質調査では泥の中のCOD、硫化物の調査を行っています。有機物量を示すCOD(化学的酸素要求量)では浦城、土々呂の一部で水産用水基準(20mg/g 乾泥)を上回っていました(図7)。漁場の汚濁の指標となる硫化物では島浦、浦城、尾末湾内の一部で水産用水基準(0.2 mg/g 乾泥)を上回っていました(図8)。また、他の地区でも基準値(0.2mg/g 乾泥)は下回っていたものの長期的変動を見てみると横ばいまたは若干増加傾向にある地区もあります。
 泥中のCOD、硫化物が増加することは漁場の老化要因の一つになり、今後も引き続き監視していく必要があります。

4. 生物モニタリング調査

浦湾、串間ビンダレ漁場において、春季、夏季に底生生物の出現状況を確認しています。
 北浦湾において、汚染指標種の一つであるヨツバネスピオA型が平成11年ごろから毎年確認されている状況です。同じく汚染指標種のシズクガイが初めて確認されました。
 串間ビンダレ漁場においてヨツバネスピオA型は平成16年度に初めて確認されて以降、毎年確認されている状況です。また、汚染指標種であるシズクガイ、チヨノハナガイが初めて確認されました。
 両漁場とも生息密度は高くないものの出現が続いていることから、底質の汚染が進みつつあることが考えられ、今後の漁場利用に注意していく必要があります。

5. 最後に

面が着色している、水色が悪い、養殖魚の様子がおかしい、餌食いが悪い等の変化が見られたときは水産試験場(0985−65−1511)または地元農林振興局(東臼杵農林振興局(0982−32−6135)、南那珂農林振興局(0987-23-4312))にご連絡ください。
 漁協及び養殖業者のみなさまは引き続き調査へのご協力をお願いします。
9月の動き(県関係)
20日 海区漁業調整委員会事務局職員研修会(大分市)
26日 九州ブロック漁業士研修会(大分市)
FISHERIES EXPERIMENT