水産試験場

A赤潮調査結果

潮調査は北浦湾において5〜10月に6回、水温、DO(溶存酸素)、COD(化学的酸素要求量)、DIN(無機態窒素)、リン酸態リン等の調査を行っています。
 水温は、表層で5、6、8、10月は平年より高め、7、9月は平年より低めで推移しました。
 DO(溶存酸素)は、夏季調査時の湾奥部底層で4.67ppmと低い値を記録した他はすべて5.0ppm以上でした。水産用水基準で定められている内湾漁場の夏季底層において最低限維持しなければいけない4.3ppmを下回ることはありませんでしたが、一般海域の基準である6.0ppmを下回ることがありました(図3)。
 有機物量すなわち汚濁量を示すCOD(化学的酸素要求量)は、年間を通して水産用水基準値の1ppmは下回っていました。年間平均の変動を昭和58年以降で見てみると昭和58〜60年は1ppmを超える悪化の状態を示していましたが、それ以降は1ppm以下で推移しています(図4)。
 DIN(無機態窒素)は、著しく高い値は見られなかったものの、年間平均の昭和58年以降の長期変動を見てみると、昭和58年から平成2年まで増加傾向にありましたが、その後減少し、平成6〜8年は2.0μg-at/l程度で推移していました。その後再び平成9年より増加傾向が見られています(図5)。
 リン酸態リンは、年間平均の昭和58年以降の長期変動を見てみると、DINと同様に昭和63年ごろをピークに平成元〜7年は減少傾向にありました。しかし、平成7年を境に再び増加傾向に、平成13年以降は横ばい傾向にあります(図6)。

2. 貝毒プランクトンの調査結果

類の毒化は貝が有毒プランクトンを食べて毒を蓄積することで起こります。貝毒には主に下痢性貝毒、麻痺性貝毒があり、本県では下痢性貝毒は過去に確認していませんが、麻痺性貝毒については平成12、13年に厚生労働省で定められた基準値の4.0MU/gを超えた値が検出されたことがあります。麻痺性貝毒原因プランクトンの一つであるアレキサンドリウム・カテネラの出現水温は15〜27℃と広く、本県ではこの水温になる3月から6月にかけて調査を実施しています。幸い平成14年以降基準値を超える毒量は検出されていませんが、毎年場所によっては基準値に近い値がみられたり、隣県での発生があることから、引き続き注意する必要があります。
 平成19年度春季までの調査でも基準値を超える毒量は検出されておりません。
FISHERIES EXPERIMENT