水産試験場
平成18年度の漁場環境調査結果について ―増殖部―
産試験場では養殖漁場の環境保全や漁場適正利用を進めるため、図1に示す北浦湾をはじめとする県下養殖場において@赤潮を形成する有害なプランクトンの発生状況を調べる「赤潮調査」、A貝類の毒化を監視する「貝毒調査」、B養殖場の水質や底質を調べる「漁場環境調査」及びC底生生物の生息状況から環境状態について把握する「生物モニタリング調査」を実施しています。
 今回は北浦湾で実施した平成18年度の調査結果を中心に近年の特徴を報告します。

1. 赤潮について

@赤潮発生状況

和56年から平成18年までの宮崎県の赤潮発生件数の推移を図2に示しました。近年は年間1〜3件と少なくなっていますが、平成18年は漁業被害を伴う赤潮が発生しており、これまで以上に監視体制を強化することが重要です。
平成18年の赤潮発生は3件確認され、そのうち1件で漁業被害が発生しました。
 1件目は、1月30日に延岡市熊野江で発生したにメソディニウム・ルブラン(Mesodinium rubrum)による赤潮です。最も多い場所で14,171(細胞/ml)確認されました。このプランクトンは動物プランクトンで、過去に宮崎県でこの赤潮による被害の報告はありません。
 2件目は、5月2日に串間ビンダレ漁場で発生したノクチルカ・シンチランス(Noctiluca scintillans )による赤潮です。最も多いところで3(細胞/ml)確認されました。このプランクトンはヤコウチュウ(夜光虫)ともよばれ、直径1mmほどの球形のプランクトンで物理的刺激を受けると蛍光を発します。細胞内に多量のアンモニアを含み魚介類を斃死させることがあります。
 3件目は、7月31日〜8月4日にかけて北浦湾、須怒江湾、浦城で発生したカレニア(ギムノディニウム)・ミキモトイ(Karenia (Gimnodinium)mikimotoi)による赤潮で、最も多いところで2,315(細胞/ml)確認され、漁業被害が発生しました。近年では平成15、16年に発生しており、平成15年には漁業被害が発生しています。
 K.mikimotoi赤潮は平成18年、西日本各地で発生し甚大な被害をもたらしました。
 なお、平成19年7月にも北浦湾でこのプランクトンによる赤潮が発生し、被害をもたらしています。
FISHERIES EXPERIMENT