水産試験場
アカアマダイの放流技術開発について−水産試験場 増殖部−
はじめに
キはタンパク質や鉄・亜鉛などのミネラル、ビタミンB類など様々な栄養素が多く含まれていることから、海のミルクと呼ばれ、生食からフライ、鍋物まで色々なかたちで食されています。カキといえば一般的にマガキのことですが、食用にされるカキにはマガキの他にもイワガキ、イタボガキなどがあります。中でもイワガキはマガキに比べ大型種であり、殻付重量で1kgをこす個体もあり、まさに「岩」のような形をしています。
また、マガキは冬場の食材ですが、イワガキは夏場でも食すことができますので、「夏ガキ」ともいわれます。
本県では、イワガキは地元での自家消費が一般的なようですが、場所や季節により地元の料理店のメニューで並んだり、スーパーなどでみることがあります。
水産試験場では夏場を中心とした新しい養殖生産物としてのイワガキの可能性を探るため、イワガキの種苗生産と養殖試験に平成21年度から取り組んでいますので、その概要を紹介します。

イワガキの種苗生産

イワガキを養殖するには養殖用の種苗を確保する必要があります。種苗の確保には人工採苗と天然採苗があります。ここでは水産試験場で昨年度から実施している人工採苗を紹介します。
イワガキの人工採苗では成熟した母貝から卵を切開法(図1)で取り出し、同様に精子を雄貝から絞りだして媒精(図2)します。受精卵は媒精後から発生が進み、1日後にはD型幼生(図3)になり、餌をとるようになります。餌は浮遊珪藻(キートセラス)を与えています。
また、イワガキ幼生の浮遊期間(図4)は生育条件で異なりますが、2〜3週間と思われ、その後、岩や貝殻などに付着します。
今年度は飼育開始から約3週間後に付着器としてイワガキ殻を飼育水槽に投入し、幼生を貝殻に付着させました(図5)。

イワガキ養殖試験

平成21年度に生産した稚貝を用いて、宮崎市青島と延岡市浦城にて養殖試験を行っています。試験は海面筏に種苗を吊しておこなっています(図6)。養殖イワガキの成長の推移を図7に示しました。宮崎市青島と延岡市浦城では成長に差がありますが、ここでは延岡市浦城に注目してみますと、養殖試験開始時の平均殻高は6.7mmであり、6か月後には51.7mm、1年後には86.2mm、1年6か月後には121mmになりました。また、1年6か月後の平均殻付重量は185.3gになりました。
FISHERIES EXPERIMENT