水産試験場
カサゴの放流技術開発に係る調査方法

増殖部

成17年にカサゴ資源回復計画が策定され、平成18年7月からは漁獲規制も始まり、資源回復の努力が本格的に開始されました。自ら漁獲規制を課せられた漁業者の皆様の決意と努力に改めて敬意を表します。
 資源回復計画の漁獲規制と並ぶ一方の柱であるカサゴ種苗の30万尾放流も同年開始され、19年度も県内各地での放流が進んでいます。
 カサゴ種苗の県内放流は、資源回復計画に先立ち、平成7年から少数ではありますが行われ、ここ数年は10万から20数万尾の放流が行われています。
 水試では、平成12年度から標識カサゴの試験放流など放流技術開発の取り組みを行っており、ここでは、カサゴの生態と絡め、調査方法などの一部についてご紹介します。

カサゴの雌雄判別法と年齢査定法

サゴの成長と年齢を知ることは、種苗放流を行い、その効果などを推定する上で不可欠です。
 カサゴは、雌雄により成長差があることが知られています。つまり、全長が同じでも雌雄では年齢が違うのが普通です。
 ある年に放流された標識カサゴが成長し、実際に天然魚に混じりどの程度水揚されているのか、市場調査などを通じ放流カサゴの放流効果(回収の程度)の推定を試みますが、 この放流効果の推定には、天然魚も含め、漁獲された魚の年齢を推定し、漁獲全体の中の各年級(各年齢)群の尾数を算出する必要があります。
 まず、そのためには、漁獲されたカサゴについて、成長の違う雄と雌を区別し、それぞれの全長や体重のデータを多く収集しなければなりません。(雌雄を区別した方が良いに越したことは無いのですが、雌雄を区別していない漁獲カサゴの全長、体重データでも水揚モードの変遷などをみるのに有効に利用できます。)
 そこからが放流効果推定のスタートとなります。まだまだデータが少ないのが現状です。

雌雄の判別

は、まず雌雄判別についてですが、腹部を切り開いて、生殖腺そのものを観察すれば容易に判別できます(図1)。しかし、市場調査でそんなことはできません。
 そこで、ご承知の方もおられることと思いますが、カサゴの肛門近くの交接器(生殖器:雌の場合はここでは生殖器と称します。)を観察し、判別します。
 鮮魚でも活魚でも同じですが(生きている方がわかりやすいようです)、肛門の前を軽く押さえ、交接器(生殖器)が少し飛び出すようにするとその形状で雌雄をほぼ判別できます。ただし、文献によれば、雄の交接器は人の第2次性徴と同様、成熟して発達するとのことでおそらく1才半未満のカサゴではこの方法では困難ではなかろうか思います。もっとも市場でこのような小さいカサゴを見かけることはまずありません。
 やや前方に向かうように飛び出し、比較的固めで周りとの境界が入り込んではっきりしているようなものは雄(図2)、前方ではなく直上に、全体としてはなだらかに飛び出し、周りとの境界がさほどはっきりとしていないものは雌(図3)。また、見え方によっては、雄の交接器の表面に2つの小突起が見え、輸精管の出口と輸尿管の出口と思われます。
雌は盛り上がった部分に1つの小突起がみえます。また、その前方に、時として横スジのように見える箇所があります。それぞれ輸尿管と輸卵管(仔魚を産出する管)の出口と思われます。
 程度の差はありますが、大型魚ほど判りやすいようです。
 これらを目安に水揚されたカサゴ1尾1尾の全長組成と雌雄について市場調査を行っているところです。
図1.5月期の雄(左)、雌(右)の生殖腺
図2.雄の生殖突起(交接器)
図3.雌の生殖器
FISHERIES EXPERIMENT