漁協経営情報

1.組織再編の必要性

県水産業の現状は、漁業者の急速的な減少及び高齢化により、正組合員数は、平成元年で5,300名、平成18年度においては3,300名とこの間2,000名の減少となっており、また、正組合員の年齢構成をみると平成元年度は、50歳代未満が73%であったものが、平成18年度では55%に減少し、60歳代以上は45%となるなど高齢化は歯止めがかからない深刻な状況にある。
 属人水揚高は、平成2年度の499億円を境に減少に転じ、平成18年度は371億円の実績となり、この間128億円の減少となっている。これに伴い漁協の全体の事業利益もマイナスとなる厳しい事態に陥っている。
 今後、現状の組織体制のまま漁協経営の収支改善を図るには、組合員に対する購買・販売事業等の手数料アップといった新たな負担も予想されるところである。
 さらには、魚価安・燃油高騰といった取り巻く環境の悪化に伴い、漁業者はぎりぎりの経営を強いられており、これ以上の負担は、漁業の存続に支障を来すことも必至である。
 本県漁業の維持振興と、組合員のよりどころである漁協組織の基盤強化を図るためには、資本の分散と組合員−漁協−連合会といった系統3段階システムにあっては、組合員の安定した漁家経営の抜本的な改善向上は望めず、本県系統組織の大改革による漁協・連合会が一つとなった県1漁協構築により、事業管理費の大幅な削減と新たな事業改革を行い、組合員の負託に応えうる強固な組織の実現に向け、系統一丸となって組織再編に取り組まなければならない。

2.基本的な考え方

下19漁協と漁連、信漁連を包括承継した県下1漁協とする。

3.目的

◎組合員の所得向上…であり
・魚価対策に積極的に取組み、魚価向上に努める。
・組合員の生産コスト削減に努める。
・広域的な資源管理により、漁業資源の増加を図る。
      
◎組合員の期待に応えられる漁協組織の構築…である。
  1. 組織のあるべき姿
    1. 組合員同士の連帯感の高揚と、意志疎通を重視した民主的運営が充分発揮できる組織・運営体制を構築する。
    2. 組合員の負担を軽減するため、経営維持のコストを縮減するとともに、事業機能を充実し組合員の負託に応じられる事業を展開する。
    3. 事業の複雑化・高度化に対応し、経営の自己責任を果たし得る業務執行、管理、運営体制を早期に確立する。
    4. 安定的な事業利益を確保し財務の健全化を実現することを基本的視点とする。
  2. 事業のあるべき姿
    1. 総合的な事業機能の発揮
      信用、共済、購買、販売、指導等各種事業を総合的に実施し、組合員の経営安定・生活向上に貢献するとともに、地域住民の期待に応え得る機能を発揮する組織とする。
    2. 総合事業体としての経営体制の確立
      経済事業、信用事業両面において、企業ガバナンス(内部統制)が充分機能する運営・業務体制を確立し、リスク管理体制の充実とコンプライアンス態勢の強化を図るとともに、専門的能力を有する職員を登用、育成、配置することにより、効率的な事業を展開し得る体制を構築する。
    3. 事業利益と健全な財務内容の確保
      事業利益、当期利益を確保しうる経営体を追求するとともに自己資本の充実等財務基盤を強化する。このため、必要な事業規模を確保する。
    4. 協同組織(運動体)としての組合員ニーズを踏まえた運営方法の確立
      各部会及び支所毎の地域懇談会などを活発に開催し、青壮年部・女性部を漁協運営へ積極的に参画させる。
    5. 資源管理への積極的な取組
      資源管理の内容を行政との連携のもと一層充実し、広域的な取組みを行う。

4.宮崎県1漁協構想の策定及び推進

後、協議を進める中で、宮崎県1漁協構想を策定し、3年後の平成22年4月をその合併目標年度として、年次計画に基づき各漁協と連携を図りながら合併推進を行う。
 また、同時に各組合が抱える負の遺産である固定化債権、繰越欠損金等の処理については、合併目標年度に向けた解消に取組むこととする。

5.事業・組織・経営改革の推進体制

  1. 漁協系統事業・組織・経営改革を推進するため、県、市町、漁協、水産関係団体で構成する「宮崎県1漁協構想推進協議会」を設置する。
  2. 漁協においては、連合会と連携し、組合員に対する合併の普及啓発を行い、漁協内部の合意形成に努める。また、「基本方針」に基づき合併計画等必要な基本事項を協議決定する等、合併を具体化する。
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