水産試験場
2012年下半期の長期漁海況予報について ―資源部―
今回は、平成24年7月25〜26日に開催された太平洋イワシ・アジ・サバ等長期漁海況予報会議の結果について紹介します。

【海況】

経過(2012年1月〜7月)
[黒潮] ◆都井岬沖の黒潮流軸(海上保安庁海洋情報部)は、4月に「かなり離岸(離岸傾向)」、5〜7月は「やや離岸(接岸傾向)」で推移した。8月上旬に一時的に「接岸」した後、現在「やや離岸」で推移している。
[沿岸水温] ◆沿岸海洋観測による日向灘の水温(0m、50m、100m層より判断)は、平年値(1972〜2010年度平均)と比べて、4月に「平年並み」、5月に「やや高め」、7月「やや高め」で推移した。6月は欠測。
予測(2012年8月〜12月)
[黒潮]
◆都井岬沖の黒潮流軸は、8月中旬まで「接岸傾向」、8月下旬から10月まで「離岸傾向」、11月に「接岸傾向」となった後、12月に「離岸傾向」となる見込み。
[沿岸水温] ◆日向灘の水温は、8月〜9月に「平年並み〜高め傾向」、10月〜11月に「平年並み」となった後、12月に「平年並み〜高め傾向」となる見込み。

【漁況】

[マイワシ]
経過(2012年1〜6月)
◆まき網による漁獲は、1/6の産卵成魚(被鱗体長19-20cm台モード、鱗査定で推定年明け2歳以上)の漁獲量(403トン)が全体の50%を占めた。その後、産卵成魚の漁獲はなく、0歳魚主体の漁況となっている(5月が被鱗体長12cm台モード、7月が13-15cm主体台)が低調に推移している。
◆日向灘南部大型定置網の4-5月の当歳魚入網指標値(伝票漁獲量と雑魚に占める推定漁獲量の相乗平均)は前年の22%、平年の49%であった。3-4月のサイズは7cm台モード、5月は15cm台モードであった。
予測(2012年8月〜12月)
◆北薩〜熊野灘(まき網、定置網)
◆来遊量:豊後水道南部以西海域ならびに熊野灘では前年並か下回る。土佐湾〜紀伊水道外域では上回る。
◆魚体:10cm〜17cmの0歳魚が主体となる。熊野灘では17cm〜21cmの1歳魚が混じる。

[ウルメイワシ]
経過(2012年1〜6月)
◆まき網による漁獲は、6月を除く月で前年、平年を下回り、低調に推移した。特に例年1-5月に漁獲対象となる明け1歳魚(被鱗体長で17-20cm台主体)の漁が低調に推移したが、6月に入り明け1歳魚と思われる90g(聞取値、7月では18-19cm台)の漁獲がみられた。一方、沿岸の小まき・15t中まき網では、3月から0歳魚が好漁(過去10年中最高レベル)となっており、19t中まき網においても6月の0歳魚(7-8cm台モード)は平年並みに獲れている。
◆日向灘南部大型定置網の4-5月の当歳魚漁獲量(伝票漁獲量)は1.8トンで前年の18倍、平年比130%であった(図5)。3-5月における0歳魚のサイズは、6-13cmが主体であった。
予測(2012年8月〜12月)
◆北薩〜熊野灘(まき網、定置網)
◆来遊量:北薩及び薩南海域、日向灘、豊後水道南部東側では前年を下回る。宿毛湾・土佐湾、熊野灘では前年並か下回る。豊後水道南部西側では前年並。紀伊水道外域では前年を上回る。
◆魚体:7cm〜20cmの0歳魚主体に、海域によっては20cm以上の1歳魚も漁獲される。

FISHERIES EXPERIMENT