水産試験場
平成23年下半期の長期漁海況予報会議の結果 ―資源部―
回は、平成23年12月20〜21日に開催された太平洋イワシ・アジ・サバ等長期漁海況予報会議の結果について紹介します。

【海況】

経過(2011年8月〜12月)
[黒潮] ◆都井岬沖の黒潮流軸(海上保安庁海洋情報部)は,8月上旬に「やや離岸(接岸傾向)」,8月中旬に一時的に「かなり離岸(離岸傾向)」,9月〜10月中旬まで「やや離岸(接岸傾向)」,10月中旬以降,12月中旬の「やや離岸」を除いて「離岸傾向」で推移した。
[沿岸水温] ◆沿岸海洋観測による日向灘の水温(0m,50m,100m層より判断)は,平年値(1972〜2010年度平均)と比べて,8月に「やや高め」,10月に「平年並み」,11月に「かなり低め」,12月に「平年並み」で推移した。
予測(2012年1月〜6月)
[黒潮]

◆都井岬沖の黒潮流軸は,1〜4月上旬まで「離岸傾向」,4月下旬以降は「接岸傾向」となる見込み。

[沿岸水温] ◆日向灘の水温は,1〜2月まで「平年並〜高め」,3月以降は「平年並」となる。

【漁況】

[マイワシ]

経過(2011年8〜12月)
◆総漁獲量(まき網)は303トン,前年比1,854倍,平年比156%でった。
◆2005年以降のまき網では,6月頃から0歳魚が漁獲の対象となり,6-7月は1,134トンで前年の100倍,平年比105%であったが,8月以降の漁は例年どおり低調に推移し,ウルメに混獲する程度であった。ただし,例年になく何時までもウルメへ混獲している状況である。また,10月に南部の大型定置網でウルメ(17cm主体)が好漁になった期間も常にマイワシが混獲されていた(15-16cmモード)。
◆まき網の漁獲サイズは,6-7月が11-13cmモード,8月が14-15cmモード,11月が16cmモードであった。
予測(2012年1月〜6月)
◆北薩〜熊野灘(まき網,定置網)
◆来遊量:紀伊水道外域東部では前年を下回る。それ以外の海域では前年並か上回る。
◆魚体:紀伊水道外域以西では、漁期前半は16cm〜19cm の1 歳魚が主体、期の後半は5cm〜 12cm の0 歳魚が主体となる。熊野灘では14cm〜20cm の1 歳魚と18cm 以上の2 歳以上が主体となる。

[ウルメイワシ]

経過(2011年8〜12月)
◆漁獲量(まき網)は9,657トン,前年比716%,平年比243%であった。
◆0歳魚が漁獲対象となるまき網の6月以降の漁獲量は,毎月1,000トン以上の水揚げがあり,6-12月の漁獲量は11,769トンで1970年以降の最高値を記録した。また,10月から網を入れる南部の大型定置網では,例年当期における漁獲は殆どみられないが,10月中旬から下旬に約60トンの漁獲があり,こちらも過去に例をみない豊漁となった。
◆まき網の漁獲サイズは,6-7月が9-13cmモード,8月が13-14cmモード,9月が16cmモード,10月が15cmモード,11月が16-17cmモードで,定置網の漁獲サイズは10月が17cmモードであった。
FISHERIES EXPERIMENT