水産試験場
2011年下半期の長期漁海況予報について ―資源部―
今回は、平成23年7月27〜28日に開催された太平洋イワシ・アジ・サバ等長期漁海況予報会議の結果について紹介します。

【海況】

経過(2011年1月〜7月)
[黒潮] ◆都井岬沖の黒潮流軸(海上保安庁海洋情報部)は、1月〜2月中旬、3月下旬〜4月中旬、5月中旬〜7月中旬に「離岸傾向」、2月中旬〜3月中旬、4月中旬〜5月中旬、7月下旬以降に「接岸傾向」で推移している。
[沿岸水温] ◆沿岸海洋観測による日向灘の水温(0m,50m,100m層より判断)は、平年値(1972〜2009年度平均)と比べて、2月の「やや低め」、6月の「かなり高め」以外は「平年並み」で推移した。
予測(2011年8月〜12月)
[黒潮]
◆都井岬沖の黒潮流軸は、8月〜9月上旬まで「離岸傾向」、9月下旬から10月上旬まで「接岸傾向」、10月以降「離岸傾向」となる見込み。
[沿岸水温] ◆日向灘の水温は、9月、10月の「平年並み〜高め傾向」以外は「平年並み」となる。
[マイワシ]
経過(2011年1〜6月)
◆まき網による漁獲量は913トンで、前年の12倍、平年比(過去5年平均)109%であった。1-3月は成魚(被鱗体長19-20cm台モード)主体に259トン、4-6月(6月で11-13cm台モード)は0歳魚主体に701トンであった。
◆日向灘南部大型定置網の4-6月の0歳魚入網指標値(伝票漁獲量と雑魚に占める推定漁獲量の相乗平均)は前年の153%、平年の263%であった。5-6月のサイズは10-13cm台モードであった。
予測(2011年8月〜12月)
◆北薩〜熊野灘(まき網、定置網)
◆来遊量:紀伊水道外域西部・熊野灘を除く各海域では前年を上回る。紀伊水道外域西 部では前年並。熊野灘では前年並か上回る。
◆魚体:12cm〜20cmの0歳魚主体。熊野灘北部沿岸では18cm以上の1歳魚以上が混じる。

[ウルメイワシ]
経過(2011年1〜6月)
◆まき網による漁獲量は3,112トンで、前年比291%、平年比138%であった。1-5月は年明け1歳魚(被鱗体長19-20cm台モード)主体に1,711トン、5月からは0歳魚が見え始め、6月は0歳魚(6月で9-11cm台主体)で1,089トンの漁となった。
◆日向灘南部大型定置網の4-6月の0歳魚漁獲量(伝票漁獲量)は4トンで前年比46%、平年比53%であったが、今年はサバ仔が大量に入網し、これらと一緒に多くが雑魚として水揚げされたと推定された(また、今年は漁期も短かった)。当歳魚のサイズは、5月が8-10cm台モード(南部)、6月が10-13cm台モード(南部)と7-8cm台モード(北部)であった。
予測(2011年8月〜12月)
◆北薩〜熊野灘(まき網、定置網)
◆来遊量:北薩及び薩南海域、日向灘、豊後水道南部では前年を上回る。土佐湾では前 年並〜上回る。紀伊水道外域では前年並。熊野灘では多かった前年並。
◆魚体:7cm〜18cm の0 歳魚主体に、海域によっては16cm 以上の1 歳魚も漁獲される。

FISHERIES EXPERIMENT