水産試験場
また、海藻が増えただけでなく、除去後、約8ヵ月後にウニ類を除去した岩礁に生育するムラサキウニと除去していない岩礁のムラサキウニとを比較すると身入りも色も明らかに除去した岩礁に生育するウニが良いことがわかりました(写真7,8,9)。
今回実施したウニ除去によって、海藻の増加以外にも商品価値のなかったウニが商品価値のあるウニに、すなわち、ウニ漁場の回復にもつながると考えられました。

終わりに

北浦ハイの浜の事例ではウニ除去を行うことによって、藻場の造成を試みましたが、どこの地域でもウニを除去すれば藻場が回復するというものではありません。
地域によって、藻場造成の方法は異なってくると思います。たとえば、近くに母藻がない場合は母藻を設置し、いわゆる「種まき」をする必要があります。
また、植食動物はウニだけではなく、アイゴ、イスズミ、ブダイなどの魚類も存在します。これらの植食性魚類の食圧が高い地域ではウニ除去を行うだけでは藻場造成は難しいと思われます。ただ、そのような地域でもウニ密度が極端に高い場合は今回の事例のようにウニ密度を適正にして、ウニの身入りを向上させることは出来ると考えられます。
今後も漁業者の方々を中心に、漁協、行政が一帯となった、藻場の回復に向けた取組を支援したいと考えています。
6月の動き(県関係)
2日 第349回海区漁業調整委員会
FISHERIES EXPERIMENT