水産試験場
平成22(2010)年ビンナガ来遊状況報告て
成22年4月28日に、独立行政法人水産総合研究センター遠洋水産研究所や各県の水産試験場等が出席して、ビンナガ来遊資源動向検討会が開催されました。
当検討会において、かつお一本釣漁業が対象とするビンナガの来遊資源の動向について取りまとめられましたので、報告します。

1. 来遊資源の豊度に関する情報

(1) はえ縄
国から千葉県の沖合に特定海域(30°N〜33°N、133°E〜140°E:図1)を設定し、この海域において1月から3月にまぐろはえ縄で漁獲されたビンナガのCPUE(単位漁獲努力量当たり漁獲量:釣鈎100本当たりの漁獲尾数)をビンナガ資源の豊度の指標としました。
また、ビンナガの年齢別のCPUEを図2に、過去との比較を表1に示しました。
平成22(2010)年における全年齢込みの全体のCPUEは、3.90となり、前年の平成21(2009)年と比較すると増加し、過去5年間の平均値とは同水準でした。
3歳魚(かつお一本釣の4歳魚に相当)のCPUEは、1.67で前年からは増加しましたが、過去5年間の平均値と比較すると低い水準でした。
4歳魚(かつお一本釣の5歳魚に相当)のCPUEは、0.92で前年からは減少したものの、過去5年間の平均値とは同水準でした。
(2) かつお一本釣
つお一本釣3歳魚に関する情報としては、平成21(2009)年かつお一本釣2歳魚のCPUEは0.02(千尾/有漁日・隻)で、平成20(2008)年や過去5年間の平均値(0.39)と比較すると低い水準を示しました。
図1.特定海域:30°N〜33°N, 133°E〜140°E
図2. 特定海域(30°N〜33°N,133°E〜140°E)における1月から3月のはえ縄漁獲によるビンナガ全年齢・年齢別CPUE。
横線はそれぞれの年齢の平成17〜21年の5年間平均値を示す。
表1. 平成22年かつお一本釣ビンナガ来遊資源動向に関する指標
年齢 CPUE 比較 かつお一本釣での年齢
H20年 H21年 H22年 過去5ヵ年
平均値
対前年比 対過去5ヵ年
平均値比
かつお一本釣※1
2歳魚
0.13 0.02 - 0.39 0.15 0.05 3歳(5〜6kg)※2
はえ縄3歳魚 1.27 1.41 1.67 1.90 1.18 0.88 4歳(7〜11kg)
はえ縄4歳魚 0.66 1.46 0.92 0.88 0.63 1.05 5歳(12〜15kg)
はえ縄5歳魚以上 1.36 0.48 1.30 0.92 2.70 1.41 6歳(16kg以上)
全年齢込み 3.28 3.35 3.90 3.72 1.16 1.05  

※1 かつお一本釣のCPUEは、大型かつお一本釣船のみから計算した値である。
※2 平成21年かつお一本釣2歳魚が平成22年かつお一本釣3歳魚となる。

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