水産試験場
マサバの種苗生産技術開発について〜増殖部〜

1 背 景

マサバは、宮崎県では主に旋網で漁獲され、また、県内では養殖も行われており、「ひむか本サバ」という名称でブランド化されています。現在、マサバ養殖における種苗はほとんどが天然魚に依存しているため、漁獲状況等に左右される状況にあります。このことから、安定した種苗供給体制を構築するため、平成23年度から、水産試験場において、マサバの人工種苗生産技術開発試験を行いました。

2 親魚と成熟

日向灘近海における天然マサバの産卵期は3〜6月頃と言われており、産卵形態としては分離浮性卵で、直径約1mmの球形の卵を産みます。種苗生産用の親魚として、養殖マサバ(ひむか本サバ)を使用するにあたり、生殖腺重量を定期的に測定することで成熟状況を把握しました。平成23年度及び平成24年度の生殖腺指数(GSI)の推移を図1、2に示しました。2カ年のGSIの推移をみると、4月以降雌雄ともに急激に上昇しており、6月上旬くらいまでは高い数値で推移しました。

3 採卵とふ化

採卵にあたり、魚体重約500〜550gの養殖マサバに、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)を魚体重1kgあたり500IUの割合で背筋部に注射投与しました(図3)。投与後、陸上の飼育水槽内で自然産卵させ、産出された卵はHCG投与の2日後の早朝(約40時間後)、採卵ネットから回収しました。1群約40尾あたり、約70〜170万粒の卵が得られました。回収卵は、一旦30Lのパンライト水槽内に収容した後、浮上卵と沈下卵に分離後、浮上卵を仔稚魚飼育水槽(5kL)に収容したところ、翌日にふ化が確認されました。2カ年の結果を表1に示しました。
FISHERIES EXPERIMENT