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そこで、この方法を応用して、平成20年度に延岡市漁協と共同で延岡市浦城町において現地採苗試験を実施しました(図3)。この試験では、天然のリッテルボヤ100個体を採卵槽(容量150Lのコンテナボックス)に入れ、ポンプで汲みフィルターでろ過した海水をかけ流して、排水が採苗槽(容量1tのコンテナボックス)に流入するようにしました。採苗槽へはシュロ縄で作成した採苗器を入れておき、採卵槽で放出された卵が排水とともに採苗槽へ流れ込み、そこでふ化して採苗器上に付着するという仕組みです。1回の採苗期間を約1ヶ月として平成20年11月から平成21年2月までに3回の採苗試験を行い、合計でシュロ縄上に約18.7万個体の種苗を付着させることができました。
図3 現地採苗試験の模式図
中間育成における課題
人工採苗した種苗は、養殖に移行する前に採苗器ごと湾内に垂下して中間育成を行います(図4左写真:例年2〜5月頃)。水槽での人工的な育成も試みましたが、植物プランクトンなどの餌が豊富な天然海域の方がはるかに成長が良く、採苗直後に全長1o程度だった種苗は、3〜4ヶ月間の中間育成で全長5〜6oに成長します。養殖開始前の大事な育成期間ですが、このときに問題となるのが付着生物です。
図4 中間育成から養殖開始まで
中間育成を開始すると間もなく、採苗器上にシロボヤなどのホヤ類やコケムシ類などが付着し始め、種苗を覆ってしまいます(図5)。そのまま放置すると種苗の成長を阻害するため除去する必要がありますが、ブラシやスクレーパーを使うと種苗まで傷つけてしまうなど、現在のところ有効な手法を確立できていません。平成20年度には中間育成の前後で種苗数が約18.7万個体から約3.8万個体まで減少し(この間の生残率20%)、付着生物による影響などが原因として考えられました。
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No.600 2009.10.1発行
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