水産試験場
てげ簡単!魚皮コラーゲンの抽出と活用方法(水産系廃棄物の再利用技術の開発)―生物利用部―

今回の主役は「魚の皮」

なたは今、すり身の天ぷらを作ろうとしています。魚を三枚におろして皮をはいで、皮はゴミだから捨てて・・・ちょっと待った!その皮が今回の主役です。現在はお金をかけて捨てている、その「皮」を、価値あるものに生まれ変わらせる方法を紹介します。

魚の皮の「コラーゲン」

の皮の成分を調べますと、約7割強が水分、2割がタンパク質、残りの部分は脂や炭水化物、ミネラル類といった組成であることがわかります。実はこのタンパク質の大部分が「コラーゲン」なのです。平成17年度に行った試験の中で、シイラの皮100グラム中に約15グラム、ハリセンボンの皮100グラム中に約19グラムのコラーゲンが含まれていることがわかりました。私たちは高価なコラーゲン配合製品を購入する一方で、身近なコラーゲンを捨てていたのですね。もったいない!
 現在、水産物から抽出したコラーゲン(以降、マリンコラーゲンと呼びます)を配合した製品が数多く販売されています。マリンコラーゲンは畜産物由来の従来のコラーゲンと比較して、疾病汚染の可能性が低いという好ましいというイメージがあるためか、その利用は加速傾向にあります。

てげ簡単!コラーゲンの抽出方法

ラーゲンは水と共に加熱すると熱変成コラーゲン、通称「ゼラチン」になって水に溶け出します。この性質を活かして、てげ簡単にコラーゲンを抽出することができます(図1)。
 最も効率的にコラーゲンを抽出する条件について、平成17年度に試験した結果、「皮重量の5倍量の水とともに、100℃であれば1.5時間加熱する」「圧力鍋等を使って120℃で加熱すれば、より短時間で抽出が可能」「加熱前の皮を水酸化カルシウム液に数日間漬け込むことで、抽出効率が良くなる」といったことがわかりました。また、シイラの皮を60℃くらいの低い温度で抽出すると分子量の大きな(分子量約10万)ゼラチンが、120℃の高い温度で抽出すると分子量の小さな(分子量約2万)ゼラチンが抽出できることがわかりました。これら分子量の違いを活かした活用方法については、今後検討していく予定です。
FISHERIES EXPERIMENT