水産試験場
平成19(2007)年ビンナガ来遊状況報告
成19年4月19日に(独)水産総合研究センター遠洋水産研究所や各県水産試験場などの担当者が集まり、ビンナガ来遊資源動向検討会が開催されました。各研究機関からビンナガ漁況について報告があり、平成19年の竿釣り漁業が対象とするビンナガの来遊資源動向についてとりまとめが行われましたので、お知らせします。

1. ビンナガ来遊資源動向検討会での検討事項、および提供する情報の変更点

れまでの標識放流や魚群の移動に関する調査研究から、ビンナガ魚群は、はえ縄漁場から北ないしは北東方向に移動して竿釣り漁場に加入し、両漁業は共通の魚群を漁獲していると考えられています。両者の豊度(CPUE)には、強い関係性があるものと仮定してこれまで予測が行われてきましたが、平成18年度に再検証したところ、これらの関係性は必ずしも強くないことがわかりました。したがって今後は、予測するための根拠を見いだすべく検討を行っていくとともに、今年度は来遊資源動向の予測そのものを行わないこととし、主としてはえ縄漁業の漁況および体長組成などを整理して提供します。

2. 来遊資源の豊度に関する情報

2. 1 はえ縄
こではビンナガの豊度を表す一つの指標として、1〜3月期の紀伊半島〜四国沖漁場30°〜33°N・133°〜140°E(特定海域とよぶ、図1)におけるまぐろはえ縄で漁獲されたビンナガのCPUE(漁獲尾数/釣鈎100本)を示します。図2は平成14(2002)〜平成19(2007)年1〜3月期における年齢別平均CPUEを示しています。平成19(2007)年における全年齢込みのCPUEは4.67で前年4.19よりも高かったのですが、過去5年平均4.75よりわずかに低くなりました。3歳魚(竿釣りの4歳魚に相当)のCPUEは2.45で、過去5年平均値3.45と前年の2.83よりも低い水準でした。4歳魚(竿釣り5歳魚)のCPUEは1.66で、過去5年平均値0.58及び前年の0.22よりもかなり高い水準でした。5歳魚以上(竿釣り6歳魚以上)のCPUEは0.55で、過去5年平均値0.71及び前年の1.15より低い水準でした。
2. 2 竿釣り
竿釣り3歳魚に関する情報としては、平成18(2006)年竿釣り2歳魚のCPUEが0.72と過去5年平均 (0.57)よりも高かったのですが、前年(平成17年;0.80)の値をやや下回ったことがあげられます。

3. 来遊資源の魚体および年齢に関する情報

成19(2007)年3月の特定海域におけるはえ縄漁業では、77cm(平均体重8.8kg)前後にモードをもつ魚群(はえ縄3歳魚、図3)が卓越しました。この魚群は80cm前後、9〜11kg(4歳魚)となり竿釣りの対象となると考えられます。
 なお参考として、表2に一般的に竿釣りで出現する海域別の年齢群を示しました。
表1. 平成19年竿釣りビンナガ資源来遊動向に関する指標の一覧
年齢 CPUE 比較 竿釣りでの年齢
H19年 H18年 H17年 過去5ヵ年
平均値
対前年比 対過去5ヵ年
平均値比
前年竿釣り2歳魚   0.72 0.80 0.58 3歳(5〜6kg)
はえ縄3歳魚 2.45 2.83   3.46 4歳(6〜9kg)
はえ縄4歳魚 1.66 0.22   0.58 5歳(10〜14kg)
はえ縄5歳魚以上 0.55 1.15   0.71 6歳(15kg以上)
図1. ビンナガ海区区分(点線内は特定海域)
図2. 特定海域におけるはえ縄の全年齢込みおよび年齢別CPUEと各CPUEにおける平成14年〜18年の5年間平均値
図3.平成19年3月の特定海域におけるはえ縄によるビンナガの体長組成
表2. 例年竿釣りビンナガで出現する年齢群
  竿釣り漁獲対象 備考
伊豆列島西側漁場(A海域) 4歳魚が主体。
5歳魚も加わる。
これらの魚群は、北上移動が速く竿釣りの漁獲対象になりにくいのが一般的である。
伊豆列島東側漁場(C海域)
の北寄り海域
4歳魚が主体。  
東沖合および天皇海山漁場
(D、F、G海域)
3、4歳魚が主体。
2歳魚も少なくない。
2歳魚は竿釣り漁業に初めて加入するので、それ以前の豊度に関する情報はない。
4月の動き(県関係)
6日 初かつおフェア開催式(宮崎市)
10日 県立高等水産研修所 入所式(日南市)
10日 ぶり稚魚特別採捕に伴う取締会議(宮崎市)
20日 西臼杵支庁・農林振興局水産主務担当リーダー及び担当者会議(宮崎市)
20日 新たな水産基本計画、水産業協同組合法・中小漁業融資保証法改正法案関係説明会(福岡市)
25日 農村・漁村女性指導士認定式・研修会(宮崎市)
FISHERIES EXPERIMENT