漁協経営情報
水産業協同組合法・中小漁業融資法改正法案説明会
産庁主催による新たな水産基本計画、水産業協同組合法・中小漁業融資法改正法案説明会が、4月20日、福岡市の福岡国際会議場で開催された。
 説明会は、水産庁大杉水産経営課長の挨拶後、水産基本計画の概要と水協法・中融法改正法案の説明があり、今回は水協法の一部改正案について掲載する。
「漁協の事業基盤の強化」
1. 事業別損益を明らかにした書面の作成、通常総会への提出
振事業の赤字を他の事業の黒字により補てんする等、事業運営や財務内容に問題がある漁協において、事業別の収支状況を明らかにさせることにより、その自助努力による早期改善を容易にするため、事業別損益を明らかにした書面の作成、通常総会への提出等が義務付けられる漁協の範囲を、信用事業を行う漁協から原則としてすべての漁協に拡大。
2. 業務報告書の作成、行政庁への提出
漁協の収支状況が悪化する中で、各事業の適正化・効率化の要請が高まっていることから、行政庁がすべての漁協について定期的に業務状況の報告を受けることにより、適正かつ効率的な指導・監督を行えるようにする必要があるため、業務報告書(子会社を有する場合には連結)の作成、行政庁への提出が義務付けされる漁協の範囲を、信用事業を行う漁協からすべての漁協に拡大。
3. 組合員資格審査の方法の定款への記載の義務付け
業者に漁協の組合員たる資格が認められるためには、その漁業従事日数が1年を通じて一定の日数を超えることが必要とされているが、その資格に関する審査手続等については、組合自治の観点から漁協自身に委ねられたところ。しかしながら、近年、漁業補償金の配分が利権化したこと等を背景に、配分を行う理事と法定の要件を満たさない正組合員との癒着が生じ、資格審査が適切に行われないため、組合自治に支障が生じているケースがみられているところ。このため、資格審査の方法を定款の記載事項として明定し、それを行政庁が認可することにより、資格審査が公正かつ適正に行われ、組合自治が適正に機能するように促進。
4. 役員欠格事由への暴力団員等の追加等
年、公共事業等の実施に伴う漁業補償金の支払に関する利権に着目して、暴力団員等が漁協等の役員となり、漁協等の目的を逸脱する事例が少なからず見受けられるところ。こうした事態を放置した場合には、漁協系統組織の社会的信用の失墜はもとより、暴力団への資金の流入を助長することにもなりかねないことから、漁協等の経営に参画する役員の欠格事由として、暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者を追加。また、行政庁が漁協等の役員についてこのような欠格事由に該当する疑いがあると認めるときは、警察庁長官等の意見を聴くことができることとするとともに、警察庁長官等からも意見を述べることができることとする。
「漁協の共済事業の健全性確保と共済契約者の保護」
5. 共済事業についての健全性基準の設定、早期改善措置命令の導入
6. 共済事業を行う漁協についての最低出資金制度の導入
7. 業務・財産状況に関する説明資料の縦覧
8. 子会社等に関する規制の導入
9. 準備金に関する規定の整備
10. 共済計理人の選任等
11. クーリング・オフ制度の導入
12. 共済契約の締結等に関する禁止行為等
13. 契約条件の変更の手続
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