水産試験場

(8)イセエビ 資源レベル「中位」資源動向「減少」
@漁獲の大半を占める磯建網の資源量指標値は、'90年代に一度減少の後緩やかに増加、直近で再び減少し、現況は中位・減少と判断されました(図10)。
A鹿児島県西側の漁獲量は減少、北の三重県は増加、県内では県南の資源量指標値が減少傾向、県北・県中では微増と、分布の変化の兆候と地域による資源状態の違いが考えられました。
B県南代表漁協の試験操業時の重量組成変化を見ると、大型個体の消失と加入量減少の兆候(成長乱獲)が確認され、漁獲開始年齢の引き上げ(再放流サイズの拡大)と漁獲圧の低減(反数削減、休漁日)が、限られた資源の合理的利用に有効と提言されました。


図10 イセエビ資源量指標値の変化
[磯建網、漁撈体数・水揚日隻数当たり漁獲量]

(9)カサゴ 資源レベル「中位」資源動向「横ばい」
@本種は資源回復計画が実施されており、詳細な調査により資源量が算出されています。推定資源量は1995年から減少傾向が強くなり、2001年に底となった後、近年は順調に増加して現況は中位と診断されました(図11)。成長が遅いことから、直近5ケ年の資源動向は横ばいと診断されましたが、若齢魚の資源尾数は大きく増加しています。
Aこの結果から、現在取り組まれている漁獲努力量抑制(禁漁期、漁獲量管理、小型魚再放流、禁漁区)や種苗放流による資源回復計画の管理措置は有効であると判断されました。


図11 カサゴ推定資源量の変化
[資源重量]

3.今後の資源評価について

今後も県の基本方針に基づき、沿岸資源の評価を実施していきます。魚種を拡大しながら、繰り返し評価を行うことにより、評価精度の向上を図りつつ、資源管理への取組の効果を検証していきます。日向灘の水産資源を合理的に利用していくために、今後とも御協力をお願い申し上げます。

4月の動き
10日 平成24年度県立高等水産研修所入所式(日南市)
20日 漁業共済・漁業収入安定対策事業全国会議(東京都)
FISHERIES EXPERIMENT