海幸彦
海幸彦インタビュー
有限会社 丸栄水産 代表取締役 大野隆由氏

■カンパチの養殖はいつごろから行われているんですか?

最初は昭和58年頃からです。国内で先駆けてカンパチの養殖を始めたのが当社です。丸栄水産はカンパチの養殖をするために、平均水温が16度以下にならない串間に設立しました。昭和63年の設立以来カンパチの養殖一筋です。

■カンパチはどうやって育てるんですか?

まず、稚魚は中国から輸入します。現在、日本の養殖カンパチは約99%が中国からの天然稚魚です。私は、稚魚の輸入から立ち会い、自社の活魚輸送船で運んできます。この方法は当社だけのやり方です。
稚魚は、沖合の50〜60mに沈めた生け簀で、たびたび選別を行いながら、出荷まで約2年間育てます。出荷の際、スタッフが「家族と別れるような気持ち」と言うほどです。

■技術だけでなく、心をこめて育てているんですね。

そうですね。先代の社長が「魚が何を望んでいるか、何に苦しんでいるか、理解してあげなさい」とよく言っていました。ひとつの生け簀には4000尾から5000尾が入っていて、給餌はもちろん、ストレスや病気で弱っていないか、常に目配りしています。見学に訪れる人たちが、当社のスタッフの目、技術に関心して行かれますよ。

私たちは、稚魚から育成、出荷まで、単なる養殖業者ではなく「食品業者」であるという一貫した考えで養殖に取り組んでいます。安心、安全は当たり前のことで、そこをクリアしてさらにおいしい魚を提供したいと思っています。おいしい魚=健康な魚です。
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