水産試験場
平成21(2009)年かつお一本釣り船が対象とするビンナガ資源の来遊動向について
成21年4月23日、(独)水産総合研究センター遠洋水産研究所や各県の水産試験場などが出席してビンナガ来遊資源動向検討会が開催されました。各研究機関からビンナガの漁況について報告があり、平成21年のかつお1本釣り漁況が対象とするビンナガ資源の来遊動向についてとりまとめられましたので報告します。
なおこれまでは、標識放流や魚群の移動に関する調査研究から冬期の延縄漁場のビンナガ魚群は、夏期にはかつお1本釣り船の漁場に移動し、両漁業は共通の魚群を漁獲していると考えられていました。
しかし、平成18年に両漁業の関係を再検証したところ、これらの関係は必ずしも強くないことがわかりました。従って、現時点では、かつお1本釣り船のビンナガ来遊資源の予測そのものを行わず、まぐろはえ縄漁船の漁獲豊度や漁獲されたビンナガの体長について、整理して報告します。

1. 来遊資源の豊度に関する情報

1-1 はえ縄
ンナガ資源豊度の指標として1〜3月期の四国から千葉県沖合の特定海域(30°N〜33°N、133°E〜140°E、図1)で、近海まぐろはえ縄船により漁獲された年齢別のビンナガCPUE(漁獲尾数/釣鈎100本)を使用しました。CPUEの平成16年からの変化を図2に、過去のCPUEとの比較を表1に示しました。
平成21(2009)年における全年齢込みのCPUEは、3.35と平成20(2008)年から増加しましたが、過去5年間の平均値と比較すると低い水準でした。年齢別には3歳魚(かつお1本釣りの4歳魚に相当)のCPUEは1.41で平成20(2008)年から増加しましたが、過去5年平均値と比較すると低い水準でした。4歳魚(かつお1本釣りの5歳魚に相当)の1.46で平成20(2008)年から増加し、過去5年間の平均値と比較しても高い水準でした。5歳以上(かつお1本釣りの6歳魚以上に相当)のCPUEは0.48で、平成20(2008)年から減少し、過去5年間の平均値と比較しても低い水準となりました。
1-2 かつお1本釣り
つお1本釣りの平成21年の3歳魚に関する情報としては、平成20(2008)年かつお1本釣り2歳魚のCPUEは0.13(千尾/有漁日・隻)で、平成19(2007)年と同値、過去5年間平均(0.50)と比較すると低い水準を示しました。
表1. 平成21年度かつお1本釣り船ビンナガ資源来遊動向に関する指標
年齢 CPUE 比較(%) かつお1本釣りでの年齢
H19年 H20年 H21年 過去5年
平均値
前年比 過去5年
平均値比
かつお1本釣り(注1)
2歳魚
0.13 0.13 - 0.50 100 26 3歳(5〜6kg)(注2)
はえ縄3歳魚 2.45 1.20 1.41 2.15 118 66 4歳(6〜9kg)
はえ縄4歳魚 1.66 0.67 1.46 0.70 218 209 5歳(10〜14kg)
はえ縄5歳魚以上 0.55 1.37 0.48 0.95 35 51 6歳(15kg以上)
はえ縄全年齢込み 4.67 3.24 3.35 3.79 103 88  
(注1)かつお1本釣りのCPUEは大型かつお1本釣り船のみから計算した値である。
(注2)平成20年かつお1本釣り2歳魚が平成21年かつお1本釣り3歳魚となる。
FISHERIES EXPERIMENT