6月22日発生時は、湾奥部の港内から着色が確認され、すでに警戒密度に達していたことから餌止め等の対策を講じました(図3)。しかしながら、着色域は徐々に養殖筏の方へ南下拡大し、4日後の6月26日に残念ながらカンパチとヒラマサの大量へい死を招き、被害額2,956万円と過去最大の赤潮被害となってしまいました(図4)。本種による赤潮で、これほどの大量へい死は初めてでした。裏を返せば、ヘテロシグマを軽く見ていたのかもしれません。その後、更に着色域は南下し浦城湾や島野浦方面でも着色域が確認され、7月7日には湾奥部の港内で最高186,500細胞/mlのピークを迎え(図5)、7月12日に終息を確認しました。
それでは、なぜ突然高濃度な赤潮を形成したのか?
赤潮発生要因は、水温、栄養塩、光、塩分濃度、種間競合等が挙げられます。海底水温の上昇によりシストの発芽、降雨により陸水からの栄養塩類の供給や塩分濃度の低下、そしてその後の日照、また他の植物プランクトンとの栄養塩類の奪い合いというように、様々な条件が複雑に絡んでいます。ヘテロシグマの特徴としては、低塩分を好み、弱い光でも増殖し、増殖スピードが速いという点が挙げられます。