水産試験場

貝毒モニタリング

キやアサリなどの二枚貝はプランクトンを餌にしています。貝毒の発生は二枚貝が有毒プランクトンを食べ、毒成分が体内に蓄積されることによって生じます。
ここで日本の貝毒の特色について少しお話します。日本で発生する貝毒は主に2種類あります。一つは「下痢性貝毒」で、激しい下痢が主な症状であり、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。これまで本県での発生事例はありません。もう一つは「麻痺性貝毒」で、からだのしびれや発熱を引き起こします。軽症の場合は24〜48時間で回復しますが、重症の場合は死亡することがあります。食中毒事件までには至っておりませんが、本県で貝が毒化した事例は平成12年と平成13年に2度あります。幸い平成14年以降は発生しておりません。
水産試験場がモニタリングを定期的に実施している目的は、このような毒化を速やかに察知し、被害を未然に防ぐためです。消費者が安心して貝を食べられるよう、これからも地道なモニタリングを継続していきます(図3)。
図3.貝毒調査
(調査は検査用貝の採取から始まります)

漁場環境モニタリング

産試験場では漁場環境を把握するため、過去の分析データを用いて漁場毎の評価を行っています。また、漁場環境の保全については平成11年に施行された「持続的養殖生産確保法」により漁場を利用する生産者自らが積極的に取り組むことが求められており、生産者自らが実践することが可能な新たな評価手法として、比較的測定が容易な硫化物量を指標とした研究を進めています。 図4・5は、本県の主要な漁場である北浦湾と串間ビンダレ漁場の海底に含まれる硫化物量の経年変化を表しています。硫化物は生物にとって有害であるため、底泥に含まれる硫化物量がある一定量を超えると、富栄養化となる有機物を分解してくれる底生生物が生息することができなくなります。健全な漁場の硫化物量は0.2mg/g・dry以内であり、この数値以内であれば養殖生産によってもたらされた負荷は自然浄化できる範囲内であると考えられます。
現在、北浦湾では7定点で調査を行っており、過去10年間で0.2mg/g・dry以上の値が観測されたのは平成16年度の一定点のみでした。経年変化をみますと、平成9〜16年までは横ばいであったものが、平成17年以降は低下傾向に転じています。
串間ビンダレ漁場では4定点で調査を行っており、本漁場では過去10年間で0.2mg/g・dry以上の値が2度観測されています。しかし平成18年以降は0.15mg/g・dry以下で推移しており、底質の面からみて両漁場とも現在は健全な漁場であると評価できます。



最後に

頃より漁場環境調査に御協力いただいている漁協及び養殖業関係者の皆様にはこの場をお借りして感謝申し上げます。引き続き、調査への御協力をお願いします。 海面の着色、異常を確認された場合は、水産試験場(0985-65-1511)又は地元振興局(東臼杵農林振興局:0982-32-6135・南那珂農林振興局:0987-23-4312)まで御連絡ください。
1月の動き(県関係)
13日 将来を見据えた食育推進地域協議会(日南市)
26日 宮崎県海面利用協議会(宮崎市)
FISHERIES EXPERIMENT