水産試験場
アカアマダイの放流技術開発について−水産試験場 増殖部−
成19年7月に北浦湾でカレニア・ミキモトイによる赤潮が発生しました。以前はギムノディニウム・ミキモトイ又はギムノディニウム・ナガサキエンセと呼ばれていたこの赤潮原因プランクトンは、魚介類の大量へい死を引き起こす有害種であり、海水1ml当たり1000細胞以上の密度に達すると魚介類がへい死する危険性が高くなります。
赤潮が発生する原因の一つに海域の富栄養化があげられます。水産試験場では養殖漁場が適正に利用されているかを把握するため、定期的な漁場環境調査を実施しています(表1・図1)。養殖漁場の適正な利用は、赤潮による養殖魚の大量へい死や魚病の発生を未然に防ぐだけではなく、近年、とりわけ消費者の関心が高い“安全で安心な”水産物を安定的に生産し供給する基礎となります。
調査名 回数/調査月 調査目的
赤潮モニタリング 6回/5〜10月 赤潮の監視
貝毒モニタリング 4回/3〜6月 貝毒の監視
漁場環境調査 4回/5・8・11・2月 漁場環境状況の把握
生物モニタリング 2回/5・8月 底生生物状況の把握
表1.主な定期調査

図1.定期調査実施図
今回は水産試験場が実施しております赤潮・貝毒モニタリングの結果と県内の漁場環境状況について御報告します。

赤潮モニタリング

内における近年の赤潮発生件数は年間1〜3件で推移しており、そのうち約5割が有害種によるものです。平成19年度は1件の事例があり、原因プランクトンは冒頭でもお話しましたカレニア・ミキモトイです(図2)。本種による赤潮が発生すると海は褐色から黒褐色になります。しかし、着色現象が起きない場合もあります。なぜならカレニア・ミキモトイ赤潮は上下移動する能力を持っており、海面近くの海水が着色していなくても生け簀付近の水深では高密度の赤潮が形成されている場合があるのです。さらにカレニア・ミキモトイ赤潮は水中の酸素を激しく消費するため、赤潮が終息してからもなお注意が必要であり、対策としては徹底した餌止めが最も効果的であると考えられています。
水産試験場では赤潮が発生しやすい5〜10月の間にモニタリング調査を実施しており、赤潮による被害防止に努めています。赤潮情報は漁業関係者の方が早急かつ容易に利用できるよう、水産試験場ホームページより入手することができます。被害の防止にお役立て下さい。

図2.カレニア・ミキモトイ
水産試験場ホームページアドレス:http://www.suisi.miyazaki.miyazaki.jp/
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