図2
さらに病魚眼球の病理組織を観察した結果、程度の差はあるもののいずれも同様の状態でした。すなわち内部に病巣部の組織が死んでチーズ状となった病巣があり、周囲に炎症性の組織・細胞が発達していました(図2aおよびb)。眼球の網膜(光や色を感じる膜状の組織)は、はがれているか、壊れており、しばしば出血による血の塊が見られました。角膜(眼の外側を覆う組織)は、炎症性の組織・細胞が観察されました。また組織が死んでチーズ状となった病巣の周辺に細菌のかたまりがありましたが、複数の細菌が観察され、特定の細菌が引き起こしたものではなく、何らかの原因により眼球異常が引き起こされた結果、病巣が「膿んだ」状態となった状態にありました(図2c)。
図2 眼球異常病のカンパチ眼球組織 a:眼球内の炎症性組織。右側に組織が死んでチーズ状となった病巣(Ca)が見られる。内部は炎症性の組織(類上皮(E)と肉芽組織(G))が発達している。肉芽組織中に赤く見える斑点は過去に出血等があったところ。矢じり部分には細菌のかたまりが見られる。
b:写真aの左下の矢じり部分を拡大したもの。炎症性の細胞が見られ,また大きな細菌のかたまりが認められる(矢じり)。
c:同一の眼球内で見られた異なる3つの細菌群。
左;小型の球菌あるいは桿菌。中;比較的大型の短桿菌。右;非常に小型の桿菌。 |