図3 ワクチン接種14日後に
β溶血性レンサ球菌症原因細菌で
攻撃したカワハギの死亡状況
○:対照区(PBS(-)を0.1mL腹腔内接種)
▲:市販ワクチン接種区。
各試験区に6.0×101CFU/FISHとなるよう
菌液を腹腔内接種して攻撃した結果を示した。
*:対照区と比べ有意な差が認められた(p<0.01)。
3 養殖カワハギのレンサ球菌症予防を考える 2でお示ししましたとおり、カワハギ養殖生産効率を向上させるため、レンサ球菌症対策が必要となりました。幸いにも、2つのレンサ球菌症には、他魚種で効果的なワクチンが市販されています(α溶血性レンサ球菌症ワクチンはブリ類で、β溶血性レンサ球菌症ワクチンはヒラメで承認)。このため、これら市販ワクチンがカワハギにも効果があるか、ワクチン試験を行いました。このうち、β溶血性レンサ球菌症のワクチン試験結果を図3に示しました。結果をみれば、一目瞭然ですが、ワクチン接種によりβ溶血性レンサ球菌症の死亡が低減しました。また、今回紙面の都合上、お示しできませんが、ブリ類で市販されるα溶血性レンサ球菌症ワクチンもカワハギに対してワクチン効果があることを確認しています。残念ながら、これらワクチンはカワハギに対して、承認されたものではないので、現状では他の承認ワクチンのように養殖業者の皆様が使用することはできません(この結果を見て使用しないで下さい)。ただ、今後、出来るだけ早く養殖業者の皆様が使用できるよう、技術開発を進めていく予定です。