2 平成27年のカレニア赤潮について
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写真1 カレニアによって海面が着色した様子 |
カレニアによって海面が着色する様子を写真1に示しました。カレニアは渦鞭毛藻の一種で、魚介類に対して非常に強い毒性を持つことが知られています。1,000細胞/mL以上になると魚がへい死することがあるほか、アワビ類は100細胞/mLという低密度でもへい死することがあります。比較的低日照、低塩分で増殖することが多いものの、本種がどのように赤潮を形成するのかはまだはっきりと分かっていません。
このため、当試験場では、近隣海域からのカレニアの流入を監視するため、瀬戸内海区水産研究所や近隣県等と共同で、有害プランクトンのモニタリング(「豊後水道周辺漁場モニタリング」)を行っています。その結果、瀬戸内海西部〜豊後水道の広範囲におけるカレニア赤潮の発生から消滅までの様子が少しずつわかってきました。
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図2 本県のカレニア赤潮発生前後における近隣海域の様子 |
今年のカレニア赤潮発生前後における近隣海域の様子を図2に示しました。これを見ると、6件目の赤潮が発生する直前は、まだ大分県南部などの近隣海域でカレニアは増殖していません。一方、7件目の赤潮が発生する直前は、近隣海域でカレニアの増殖が見られます。このことから、6件目の赤潮は発生海域に元から存在していた遊泳細胞が何らかの要因で大増殖した「地場発生型」の可能性が、7件目の赤潮は近隣海域で増殖したカレニアがまとまった密度で発生海域に流入し、何らかの要因で増殖した「赤潮流入型」の可能性が考えられます。当試験場では、今後も他県等と連携し、カレニア赤潮を早期発見できるよう、監視を続けていくこととしています。
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