水産試験場
宮崎県初!アカアマダイの人工種苗生産 〜増養殖部〜

はじめに

産試験場では赤潮による漁業被害の防止を図るため、北浦湾をはじめとする県下養殖場において、有害なプランクトンの発生状況を調べる「北浦湾周辺漁場モニタリング」や「豊後水道周辺漁場モニタリング」等を実施しています。
今回は、当試験場で実施したモニタリングのうち、平成27年の結果を中心に報告します。

1 平成27年の赤潮発生状況

図1 平成16年から平成27年までの赤潮発生件数の推移(クリックで拡大)

成16年から平成27年までの赤潮発生件数の推移を図1に示しました。平成16年から平成26年までは多くても年間5件の発生に止まっていましたが、平成27年は表1に示したとおり7件の赤潮が発生し、うち1件で残念ながら漁業被害が発生する結果となりました。
1件目は3月27日に延岡市安井周辺で発生したGonyaulax polygramma (ゴニオラックス ポリグラマ)による赤潮です。このプランクトンは渦鞭毛藻の一種で、本県での漁業被害は発生していないものの、他県では漁業被害の報告がある要注意プランクトンです。
2件目〜4件目の原因プランクトンであるNoctiluca scintillans (ノクチルカ シンチランス)は直径1mmほどの球形のプランクトンで、物理的刺激を受けると蛍光を発することからヤコウチュウ(夜光虫)とも呼ばれています。細胞内に多量のアンモニアを含み魚介類をへい死させることがあります。
表1 本県における平成27年の赤潮発生状況

5件目は5月14日に延岡市浦城湾内で発生したHeterosigma akashiwo (ヘテロシグマ アカシオ)による赤潮です。最大3,000細胞/mLの密度で確認されました。本種はラフィド藻の一種で、本県では本種による大規模な漁業被害が発生したことがありますが、今回、本種による漁業被害はありせんでした。
6件目と7件目の赤潮はKarenia mikimotoi (カレニア ミキモトイ・・・以下「カレニア」)というプランクトンによるものです。
今年6件目の事例では、6月25日に延岡市浦城湾内で発生し、最高4,660細胞/mLの密度で確認されましたが、漁業被害はありませんでした。
今年7件目の事例では、7月19日に延岡市北浦湾内で増殖が確認されてから9月8日に終息するまでの間、最高で12,600cells/mLという非常に高い密度の赤潮が確認され、北浦湾内から延岡湾までの広範囲で増殖が確認されました。この赤潮により、平成24年7月以来3年ぶりに漁業被害が発生し、養殖カンパチ・ブリ・アワビ類など20,590千円の被害がありました。
FISHERIES EXPERIMENT