皆様あけましておめでとうございます。
本組合の業務に関しましては過ぎ去りました1年を顧りみますと昨年も色々なことがありました。
まず、昨年は当組合にとって設立77周年の節目の年でございました。即ち昭和12年6月1日漁船保険法「法律23号」が施行されるや、直ちに組合設立準備にかかり昭和13年3月23日に設立されましたので、昨年組合創立77周年を迎えることができました。
この間、幾多の困難を克服しつつ、昭和27年には漁船損害補償法が制定され、義務加入制度と保険料の一部を国が負担する仕組が導入され、漁業者のための相互保険制度が確立されました。その後、数度にわたる制度改正が行われ、漁船(船体)、積荷、船主責任(賠償)保険に新たに平成11年にはプレジャーボート責任保険が創設されるなど、漁業者のための総合保険として発展してまいりました。
しかしながら現在、我が国の漁業を取り巻く環境は厳しく、これを受け漁船保険事業も漁船隻数の減少や付保漁船の高船齢化など厳しい状況に置かれています。
このような中、漁船保険業界では専門委員会等において、東日本大震災の教訓を踏まえ、将来に向け安定した保険サービスを提供することと、漁船保険の運営を安定させ、業務の効率化、合理化を目的として、平成29年4月1日に全国45の漁船保険組合と漁船保険中央会を統合した漁船保険の統合一元化組織「日本漁船保険組合(仮称)」の設立に向け具体的な検討を進めており、水産庁においても漁船損害等補償法をはじめ関係法令の改正等所要の手続きが進められています。
よって平成27年度に於いては、これ等統合一元化の行方を注視しつつ、引き続き漁船事故防止と保険金の早期支払いを最重点施策としまして業務を推進いたしました。
また、漁船の高船齢化(引受隻数の82%が船齢20年以上)が進んでおり、事故防止事業として、漁船機関並びに電気設備整備点検事業を実施すると共に、衝突事故防止を図る目的で船舶自動識別装置(AIS)を設置した漁船80隻に対し888万円の保険料の助成を行いました。
さらに3年間無事故継続加入漁船に対して無事戻金385隻、934万円を交付し更なる無事故奨励を進めてまいりました。
この結果平成27年度の引受実績は2,130隻、215億円と前年実績に比べ隻数に於いて69隻(3.13%)、引受金額に於いては1億4,000万円(0.6%)それぞれ減少いたしております。
一方漁船事故は台風15号が熊本県荒尾市に上陸しましたが、その被害は小型船を中心に20隻、300万円程度でありました。
しかしながら、依然といたしまして自動操舵装置などの航海計器類に頼り過ぎ見張りを怠り衝突、座礁する運航上の不注意による事故の他、高船齢化に伴う火災事故等乗組員の人命にも拘りかねない危険な事故も発生しています。
これ等の事故を含め平成27年度の漁船保険金の支払は530件、3億2,000万円に達するものと思われます。
よって、今後共この種事故の再発防止と操業の安全につきまして指導してまいりたいと存じますので、皆様方の絶大なるご指導ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上、平成27年度の業務執行の状況につきまして、申し述べましたが、次に新年度に実施いたします主なる事項につきまして簡単にご説明申し上げます。
まず漁船保険組織統合一元化に向けて、平成28年12月には臨時総代会を開催し合併の議決を行う予定となっており、統合一元化を実質的に仕上げる重要な1年となる重大な局面を迎えていますので、これ等の動向をも注視しつゝ前年同様「稼働動力漁船の全船加入と船主責任保険の危険率に応じた高額付保、漁船事故防止の徹底した対策、乗船中の救命胴衣の着用の励行と保険金の早期支払い」を最重点施策といたしまして業務の推進に努め、漁船事故による損害の復旧と船主等の諸種の負担を軽減して漁業経営の安定に資するという本組合の使命達成のため全力を尽す所存でございますので、何卒皆様方のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
年頭にあたりまして、皆様のご健康と操業の安全並びに豊漁をお祈り申し上げご挨拶といたします。 |