水産試験場

4)近年のマダイ資源の動向

図6に昭和57年から平成24年までの若齢魚(0〜2歳)と成魚(3〜6歳)の漁獲尾数の推移を示しました。まず若齢魚の漁獲尾数ですが、昭和59年には15万尾を超える漁獲があったのですが、漸次減少していき、平成10年以降は3万尾以下に減少しています。一方成魚の漁獲尾数は昭和57年から63年までは2万尾台の漁獲でしたが、平成元年以降徐々に増加し平成8年には5万尾台となり、その後も3万尾台の漁獲が維持され、年によっては若齢魚の漁獲尾数を上回ったりしています。「若齢魚は減っ ているのに成魚はいる」、このことは、成魚が他海域から移入していることが考えられます。
本年度9月に開催されました第4回資源評価委員会ではこのことが取り上げられ、提言では、漁獲量の下支えと考えられる移入群の動向と環境変化を注視し、継続したモニタリングが望まれるとされました。

2 ヒラメの放流効果について

1)漁獲量・放流尾数の推移

本県ヒラメの漁獲量は、平成元年の24トンを底として増加傾向に転じ、平成8年は76トンと、放流が開始された昭和60年の2倍近い漁獲量となりました。しかし平成9年から11年にかけて減少し、15年には30トンを割り込み、その後平成17年、18年に一旦40トン台まで回復したものの、再び減少傾向に転じ、平成24年は20 トンとなっています。
放流尾数は、昭和60年代の約10万尾から徐々に増加し、平成7〜12年には30〜50万尾の放流が行われています。平成13年に放流尾数が20万尾まで減少したことについては第4次県栽培漁業基本計画で種苗の大型化とそれに伴う放流尾数の縮小方針が示されたことによります。しかし近年は段階的な放流尾数の増大が行われ、30〜40万尾が放流されています(図7)。

2)放流魚の混獲状況

平成9〜24年において、ヒラメ漁獲量の10〜26%(平均15%)にあたる3〜18トン(平均5トン)が放流魚と推定されました。 また、生産額では全体の9〜28%(平均15%)にあたる4〜25百万円(平均12百万円)が放流魚と推定されました(図8、9)。
FISHERIES EXPERIMENT