水産試験場

5.マダイ 資源レベル「中位」資源動向「横ばい」

マダイは、延縄、一本釣りを始めとして定置網、刺し網、小型底曳き網漁業など多くの漁業種類で漁獲されています。漁獲量は、昭和50年代の前半は50トン前後で推移していましたが、種苗放流が始まった昭和55年以降増加、平成8年には過去最高の160トンとなりました。しかし、平成9年以降減少し、近年は70トンから90トンと横ばい傾向にあります。若齢魚(0歳から2歳)の漁獲尾数が平成10年以降3万尾以下に減少、その一方で成魚(3歳から6歳)の漁獲尾数は持続していることから、成魚の他海域からの移入が考えられています。

【評価内容と提言】

資源レベルは、平成6年からの資源量指標値(漁獲量)で直近の平成26年は上位25%〜下位25%の間にあり、中位水準と判断されました(図9)。また、資源動向は、資源量指標値(漁獲量)が年間2.3%の増加を示し±5.0%の変化内にあることから横ばいと判断されました(図10)。
提言では、海洋変動が資源に影響を与えている可能性があり、人為的方策による資源管理は不確実性が高いとし、漁獲量の下支えと考えられる移入群の動向と環境変化を注視し、継続したモニタリングが望まれるとされました。

6.イセエビ 資源レベル「低位」資源動向「横ばい」

イセエビはほどんどが磯建網漁業で漁獲されています。漁獲量は、刺網漁業の漁獲統計のある昭和50年以降では40トン台から90トン台の間で推移、直近の平成25年は53トンの漁獲がありました。

【評価内容と提言】

資源レベルは、昭和45年からの漁獲量で、直近の平成25年は下位25%以下にあり、低位水準と判断されました(図11)。また、資源動向は、CPUE(kg/日・隻) が県北部で年間2.8%の増加、県中部で年間2.0%の減少、県南部で年間3.0%の増加を示し±5.0%の変化内にあることから横ばいと判断されました(図12)。
提言では、イセエビは沖合海域から流入して沿岸域に加入してくると考えられることから、資源管理方策は加入量増大及び生残率の向上を目指す取り組みと資源の効率的利用が考えられるとされました。
FISHERIES EXPERIMENT