水産試験場
沿岸漁業の収益向上のための調査研究について ―経営流通部―

はじめに

県漁業就業者は、平成25年漁業センサスで2,677人で5年前と比較して21%も減少しており、今後も減少が加速することが想定されています(図1)。
特に沿岸漁業就業者の減少が著しく、今後の漁村地域の経済活動の縮小が懸念されるため、現在、県では「水産業・漁村振興長期計画(後期計画)」の中で、重点プロジェクトに担い手の確保及び高収益化などを掲げていますが、効率的・効果的な対策を講じるためには、まず現在の沿岸漁業の収益構造などを明らかにする必要があることから、平成28年度から新たな研究課題に取り組んでいます。
昨年度は、船団漁業を除く5トン未満の漁船漁業(以下「沿岸漁船漁業」という)を対象に実態把握及び操業形態による収入特性の分析等を行ったので、その概要について報告します。

図1 漁業就業者数の推移(出典;漁業センサス)

地域別の本県沿岸漁船漁業の概況

 平成26年(2014年)の沿岸漁船漁業の漁獲金額について、県北・県中・県南の地域別に整理すると、平均漁獲金額については県中が最も高く、次いで県南、県北の順でした(図2)。操業日数は県中が最も多く、県北、県南の順でした(図3)。
県南は操業日数が少ないにもかかわらず漁獲金額が高いことから、効率の良い操業が行われていると考えられます。

図2 沿岸漁船漁業(5トン未満)の1経営体
   当たり地域別漁獲金額(平成26年)

図3 沿岸漁船漁業(5トン未満)の1経営体
   当たり地域別操業日数(平成26年)
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