種苗放流を目的とした宮崎県におけるアカアマダイの種苗生産技術開発は2012年度からスタートしました。2014年度からは(一財)宮崎県水産振興協会と連携して量産化へ向けた技術開発に取り組み、2014年度は初年度でありながら全長68mmの稚魚8,500尾が生産されました。
水産試験場では、この種苗を用いて標識放流を行っています(表1)。標識は片方の腹ビレの基部をはさみでカットし標識としています(図4)。放流場所は2014・2015年度が日南市風田・梅ヶ浜沖水深約20m、2016年度が外浦漁港内水深約5mと贄波地先水深約10mの海域です(図5)。アカアマダイは全長70mm位の大きさになると巣穴をつくることから底質は砂泥質から泥質の所を選定しました。追跡調査は市場調査と漁業者の方々からの再捕報告で行っています。
市場調査は日南市漁協と南郷漁協を重点的に行っていますが、初年度放流分がそろそろ市場に水揚げされてもよい時期となり自然界にうまく入っていけたか心配していたところ、2017年2月に南郷漁協のアマダイ延縄漁業者の方から大島沖で腹ビレのないアマダイが獲れたとの報告がありました(図6)。それも4尾一度にです。大きさは平均全長260mm、平均体重170gで、調べた結果、2015年2月に放流分と判明、人工種苗が自然界にちゃんと定着し、天然界のアカアマダイと遜色なく成長していることが確認されました。
これは本県で種苗生産、放流したアカアマダイの初の再捕報告となりました。今後も引き続き放流群の追跡を続け、種苗放流効果を確認することになります。 |