関係機関

(3)イセエビの資源構造の把握と合理的な資源利用法の開発(H29〜31、資源部)

 イセエビは単価が高く、日向灘の沿岸資源の中で重要な位置にありますが、近年、資源状況が低迷しており、県資源評価委員会における直近の資源評価では「低位」と「中位」の境目で「横ばい」状態にあります。このため、小型エビの再放流の取組を推進し、試験場の調査でも「適地への再放流後の定着と回収」、「一定期間経過後の体重倍増」が確認されていますが、より一層の合理的な資源利用を進める必要があります。
 イセエビは幼生期の浮遊期間が長く、限られた加入資源を有効活用する必要があることから、漁場の環境条件調査等による漁獲低迷要因の抽出や、操業実態調査による資源構造の解明を進め、合理的な資源利用方法の検討・提示につなげていきます。

(4)細菌性難治療性疾病の予防に関する研究(H29〜33、増養殖部)

 本県の主力海面養殖業であるぶり類養殖においては、ノカルジア症やC群(新型)レンサ球菌症の被害が継続しており、今後は薬剤耐性菌の問題もあり、抗生物質等に依存しない予防技術の開発を推進する必要があります。
 本研究では、免疫力を高める機能性製剤や新たなワクチン等の有効性を評価するため、宮崎大学と共同で試験に取り組みます。これらの技術により、細菌性疾病の被害軽減と環境負荷の少ない養殖生産体制づくりにつなげていきます。

(5)ビブリオ・ハーベイ感染症の予防に関する研究(H29〜33、増養殖部)

 主力養殖魚の一つであるカンパチにおいては、既存市販ワクチンの効果がないビブリオ病の発生が確認され、水試が中心になった研究で、ビブリオ・ハーベイ感染症と解明されました。同感染症は、高い致死率と強い病原性で稚魚期の被害が特に大きい他、成魚でも被害が多発する「眼球炎」に関与することがわかってきました。
 これまでの研究で、試作ワクチンの有効性は確認されていますが、関係機関と協力しながら、実用化に向けた試験を行いデータ収集を進めていきます。最終的には、有効なワクチンが市販され、本感染症による被害が軽減され、養殖業の経営安定につながるよう、研究を進めてまいります。

(6)稚仔魚期のアユの生態および資源状況に関する研究(H29〜33、内水面支場・資源部)

 平成27年度からの調査で、五ヶ瀬川水系のアユ資源の減少が確認され、関係者による資源管理の試みが開始されています。しかし、海面で生活する稚仔魚期は、アユの生活史の中で最も減耗が大きいとされ、効果的な資源回復を図るためには、河口周辺海域における分布生態の解明や、精密な資源量把握が必要不可欠です。
 このため、海面における分布状況調査や、環境水に含まれる遺伝子情報(環境DNA)解析による資源推定技術の開発を行い、稚仔魚期の資源生態を明らかにして、効果的な資源管理による持続的なアユ資源の利用を実現していきます。

 そのほか、水産物加工指導センターを活用した加工品開発等の取組への支援や、魚病指導総合センターでの魚病診断や感染症防除対策による安全・安心な養殖生産の支援など、水産試験場の役割は漁業に従事される皆様の疑問・要望を解決する技術開発と情報提供ですので、問題点や疑問点などがございましたら、遠慮なくご相談いただきますようお願いいたします。
3月の動き(県関係)
22日 水産業・漁村振興協議会(宮崎市)
24日 宮崎県資源管理協議会 第2回通常総会(宮崎市)
27日 第393回 海区漁業調整委員会(宮崎市)
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