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平成29年度の水産試験場の新規・重点研究課題のご紹介 |
水産試験場の調査研究の実施にあたりましては、日頃より皆様方のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
魚価の低迷や経費の高騰等による経営環境の悪化や漁業就業者の減少など、水産業にとって厳しい状況が続く中、資源確保と収益性の向上がますます重要になってきております。このため、水産試験場では「漁業の抜本的な収益性の回復」、「水産資源の回復と適切な利用管理」及び「水域環境の保全と環境変化への対応」をキーワードに,平成29年度は25の研究課題と15のモニタリングや基本業務に取り組んでいます。ここではこれらの研究課題の中から、新規・重点研究課題の一部をご紹介いたします。 |
(1)資源変動期における主要浮魚類の漁況・漁場予測技術の開発(H29〜33、資源部・経営流通部)
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本県海面漁獲量の約半分を占めるいわし・あじ・さば類のような主要浮魚類については、気候変動の影響を受けて日本近海の資源量が数十年単位で大きく変動し、これに伴い日向灘への来遊状況も大きく変化します。現在、マイワシの増加やカタクチイワシの低迷など、魚種交替と呼ばれる資源変動期に入ったと推定され、これらの資源を利用する漁業と関連産業は、今後の変化に適切に対応していくことが必要です。
そこで、本研究では、今後の浮魚類の資源生態の変化と日向灘における漁況の変化を予測する技術を開発するとともに、魚種交替が漁業経営や産地流通に与える影響を評価します。さらに、新たな海況情報を活用した漁況予測技術の開発も進め、操業の効率化と漁業経営の安定に寄与していきたいと考えています。 |
(2)高度回遊性魚類の資源生態と回遊経路に関する研究(H29〜33、経営流通部) |
かつお・まぐろ類のような高度回遊性魚類を対象とする本県関連漁業は、全国でも有数の位置にありますが、これらの魚種は世界的には漁獲量が増大傾向にある中で、国内の漁獲量は減少傾向にあり、国際的な資源管理の推進による持続的な利用管理が重要となっています。
高度回遊性魚類については、国が実施する資源評価の精度向上のため、本県も連携して漁獲状況調査を進め、本県漁業が漁獲対象とする資源の動向把握と持続的な利用につなげます。また、カツオの資源状況の変化に伴い重要度が増しているビンナガについて、操業効率化等の支援につなげるため、漁場移動の予測や回遊変化について研究を進めていきます。 |