水産試験場

県内における赤潮発生状況について

和58年から平成29年2月までの宮崎県の赤潮発生件数、及び漁業被害件数の推移を図2に示しました。

図2 昭和58年から平成28年までの赤潮発生件数、及び漁業被害件数の推移


図3 赤潮プランクトンの特徴
 昭和58年以降宮崎県で漁業被害をもたらした主なプランクトンはカレニア・ミキモトイとヘテロシグマ・アカシオの2種です(図3)。
 近年の赤潮発生件数は年間0〜4件と30年前に比べ少なくなっていますが、漁業被害は引き続き発生しており、平成27年はカレニア・ミキモトイ赤潮により漁業被害が発生しました。平成28年度にも、カレニア・ミキモトイ赤潮が1件発生しましたが、幸い漁業被害はありませんでした。今後も注意深く養殖場周辺の海域を監視していただくことが重要です。
 一方、赤潮発生時の対策としては、餌止めと避難(生け簀の移動や沈下)がありますが、早期に餌止めを行い、生け簀にむやみに近寄らない(魚を水面に来させない)ことが重要になります。

漁場環境調査について

成11年に施行された「持続的養殖生産確保法」により、漁場を利用する生産者自らが漁場環境の保全に積極的に取り組むことが求められています。
 水産試験場は取り組み状況を検証するため、毎年夏から秋に養殖漁場の底質調査を行い、過去の調査結果との比較による漁場毎の評価を行っています。
 養殖漁場の底質状態を定期的に調べることで、養殖活動が現場の漁場にどれほど有機物負荷(養魚の残餌や糞など)を与えているか判断出来ます。一つの底質分析の手法としてAVS-S(酸揮発性硫化物)があり、値が高い方が底質が悪いと評価出来ます。宮崎県海面魚類養殖指導指針ではAVS-Sの目標値を0.175(mg/g-乾泥)未満と定めています。
 宮崎県の養殖漁場、県北の北浦湾、島浦、浦城、延岡湾南部、門川・庵川と串間(ビンダレ漁場)におけるAVS-S値の推移を図4に示しました。
 本県では昭和末期〜平成初期にかけて基準値以上のAVS-S値が見られていましたが、平成10年以降を見ると、一部で一時的に基準値を越えた所はありますが、ほぼ基準値を下回った状態が続き、これらの養殖漁場での負荷量は海域における自浄作用の範囲内にあり健全な漁場であると評価できます。今後も残餌を出さない給餌や、適正密度での飼育などを進めることで適切な漁場環境が維持されていくものと思います。
FISHERIES EXPERIMENT