水産試験場

表3 加工品消費量

※家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング
(2012〜2014)より抜粋

W 新たな加工品:常温保存品の開発について

 これまで述べたように、宮崎市の煮干品の消費は全国一であるにも関わらず、県内の素干品、塩干品、煮干品の生産は減少傾向にあります。生鮮冷凍品の生産は増加していますが、フィレやロインが主体の加工原料の出荷となり、加工品を製造する際に発生する付加価値は県外(域外)へ流出している状況です。
 また、冷蔵、冷凍品は土産物等になりにくく、コールドチェーンでの流通に制限され、販路が拡大できなかったり、製品保存のための保管コストがかかる等の課題があります。
 一方で、東日本大震災以降、各家庭での災害の備えとして缶詰やレトルトなどの保存食の生産量が増大しています(図3)。また、近年、缶詰めバーや高級缶詰市場が形成されており、ご当地缶詰め等の小ロットのニーズも出ているところです。
 このような中、本県水産加工業者の方々から、多様化するニーズへの対応やレトルトなどの高次加工製品の開発がしたいという声が聞かれるようになっています。
 そこで、試験場では、缶詰め真空巻き締め機とレトルト装置を導入し、今年度から常温流通加工技術開発に取り組んでいます。
 今年度は、近年漁獲が増加してきたイワシ類を用いて、缶詰め、レトルト製品の試作を行っています(図4)。県産魚で作る缶詰製品はまだ少ないことから、「ご当地缶詰め」という位置づけで小ロットでも採算が合うよう、関係機関と連携して技術開発で終わらず、製品販売までをサポートする計画です。

FISHERIES EXPERIMENT