水産試験場
漁場予測システムを活用した海況・予測漁場情報提供の試み

はじめに

漁業調査取締船「みやざき丸」
県の基幹漁業であるかつお一本釣及びまぐろ延縄漁業について、操業効率化技術を開発することは、収益性の向上につながると考えられることから、まずは近海かつお一本釣を対象として、漁場予測技術に関する研究を行ってきました。平成18年には民間業者と共同で、宮崎県版の漁場予測システムを開発し、その後はシステムの改良や検証を行い、精度向上を図ってきました。現在では水産試験場所属の漁業調査取締船「みやざき丸」にも本システムは搭載されており、実際の資源探索調査にも役立てているところです。今回は、このシステムを活用した情報発信の取組について報告します。

漁場予測システムとは

予測図の例(カツオ)
システムの概要としては、4日先までの海況データの取得や対象魚種の漁場予測エリアの表示、インプットされている過去操業位置や漁獲量データの表示などの機能があります。ここで言う海況データとは主に、水温(表層〜下層)、海面高度、塩分などのデータのことです。また、予測表示のしくみについて簡潔に説明しますと、過去の海況データと過去の操業(漁獲)データのマッチング処理(つなぎ合わせる)を行うことで、どのような海況条件のときに対象となる魚が多く漁獲されたかをデータにより解析し、その解析結果を現在の海況条件に合わせることで、推奨漁場として予測漁場エリアを表示するものです。

情報発信の取組スタート

情報伝達の流れ
のシステムにより取得された海況情報の中で、表層水温をベースに漁場予測エリアを表示した図(以下「予測図」という)を作成し、近海かつお一本釣船が所属する各漁協を経由した連絡体系を構築した上で、各船へ提供する取組を平成26年から試験的に始めました。
FISHERIES EXPERIMENT