 |
平成28年度の水産試験場の新規・重点研究課題のご紹介 |
水産試験場の調査研究の実施にあたりましては、日頃より皆様方のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
魚価の低迷や経費の高騰等による経営環境の悪化や漁業就業者の減少など、水産業にとって厳しい状況が続く中、資源確保だけでなく、収益性の向上がますます重要になってきております。このため、水産試験場では「漁業の抜本的な収益性の回復」、「水産資源の回復と適切な利用管理」及び「水域環境の保全と環境変化への対応」をキーワードに,平成28年度は25の研究課題と14のモニタリング等業務に取り組んでいます。ここではこれらの研究課題の中から、新規・重点研究課題の一部をご紹介いたします。 |
(1)かつお・まぐろ漁業の収益向上に関する研究(H28~32、経営流通部)
|
本県のかつお・まぐろ漁業については、急激な燃油価格の高騰などに対処するため、国の実証事業を活用して、船体の小型化や漁獲物の鮮度向上などを内容とした改革型漁船により、収益性の向上に向けた取組が進められています。
このような取組において、収益向上の要因分析などの詳細な事後検証を実施することが、本県かつお・まぐろ漁業の将来に向けた展望を検討するうえで非常に重要であると考えております。
そこで、本研究では、改革型漁船の検証はもとより、収益向上につながる要素の抽出を目的として、漁場選択と収益性の関係や産地価格形成要因の分析を実施します。
また、併せて、過去より蓄積してきた漁場形成データを活用した操業支援ツールの開発を行うなど、様々な漁業情勢変化にも耐えうる収益性の高いかつお・まぐろ漁業の構築に寄与していきたいと考えています。 |
(2)カンパチ早期育成技術開発(H28~30、増養殖部) |
本県の海面養殖業の重要魚種であるカンパチにおいては、飼料価格が高騰し魚価が安定しないことから、養殖漁家は不安定な経営を強いられております。
これまでのカンパチ養殖は中国産天然種苗に依存しており、近年は種苗価格が増大している上に、海外からの疾病の侵入リスクを抱えていたため、安全で価格の安い人工種苗を用いた養殖が広まりつつあります。しかし、本県で人工種苗を用いた場合、導入するサイズや時期の違いにより、出荷までの養殖期間が、天然種苗の場合と比較して、約1年長くなるという問題が明らかになっています。
そこで、本研究では主として餌料改善により、種苗育成期や低水温期の成長改善技術を開発し、早期育成による養殖期間の短縮で、カンパチ養殖経営の収益性を改善していきたいと考えています。 |