小型イセエビの再放流は、県内各地で行われていますが、放流する人たちは、このエビが死なずに大きくなってくれるだろうか、また、大きくなったとしても同じ漁場にいてくれるだろうか、という思いで放流されているのではないでしょうか。
宮浦では放流約11ヶ月後の再捕、大浦では放流後約8ヶ月後の再捕でしたが、再捕場所はいずれも放流した同じ漁場内がほとんどで、放流漁場外で再捕されてもとなりの漁場まででした。また、大きくなってくれるだろうかという心配も、結果で述べたとおり、思っていた以上の成長が見られ、ほぼ1年後の宮浦では平均で2.4倍と倍増でした。
以上、良いことばかりの小型エビの放流ですが、一つの疑問として、放流したイセエビがどのくらい生き残っているのだろうか、というのがあります。残念ながらこれについては標識放流では分かりません。ただ、標識放流するイセエビの一部を持ち帰り、試験場内の水槽で飼育しているのですが、特に飼育管理に気をつかわなくてもほとんど死亡することはありません。イセエビは比較的強い生物ではないかと思います。それは自然の海域でも同じで、死亡するとすればそれは何かに捕食される、というくらいではないかと思います。ですので捕食する生物を除去-例えばイセエビの天敵であるタコの駆除-すれば、放流するイセエビばかりでなくその漁場のイセエビの生残を高める効果があるのではないかと思います。
標識イセエビの追跡調査は今後も続け、再放流効果を確認していきます。 |