水産試験場
イセエビの標識放流について2

はじめに

セエビの標識放流については、今年の水産宮崎6月号(NO.668)で昨年(平成26年)標識放流した都農町漁協と日南市漁協宮浦での平成27年3月までの再捕状況を報告しました。
報告では、「今年9月の解禁が待ち望まれます。」と結んだものの、はたして、9月に再捕されるだろうか心配していたのですが、9月解禁となり、無事(?)、割合多くの標識エビが再捕されましたので、その続きということで、9月解禁からの報告をしたいと思います。
今回は、日南市漁協の宮浦地区と大浦地区の再捕状況について報告します。なお、都農町漁協については、9月に同漁協の漁場内で2尾の再捕があり、増重倍率は5.2倍と2.2倍でした。

1 標識放流


図1 日南市宮浦放流場所 ☆

図2 日南市大浦放流場所 ☆
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日南市漁協宮浦と日南市大浦の標識イセエビの放流状況について表1に、それぞれの放流場所を図1、2に示します。
放流場所は、日南市宮浦は宮浦観音埼沖イセエビ人工礁沈設水深20m海域、日南市大浦は大浦港防波堤外側で、いずれも禁漁区となってます。放流日時は日南市宮浦地先が平成26年10月17日、日南市大浦地先が年明けの平成27年1月22日でした。
表1 H26年度標識イセエビの放流状況
日南市宮浦地先 日南市大浦地先
放流日時 平成26年10月17日 平成27年1月22日
放流尾数 153尾 202尾
頭胸甲長(mm) 48.8±3.39 55.2±4.72
体重(g) 108.4±18.42 150.7±37.58

2 再捕結果


図3 日南市宮浦標識放流イセエビの宮浦

図4 日南市大浦標識放流イセエビの
再捕場所☆
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放流地先毎の標識放流イセエビの再捕場所を図3、4に、再捕時の増重倍率を図5、 6(図では平成26年度に再捕されたイセエビの増重倍率も載せています)に示しました。
日南市宮浦地先放流では、9月の漁解禁から10月15日までに29尾が再捕されました。再捕場所は26尾が宮浦の漁場内で、1尾が富土地先で、2尾が鵜戸地先でした。
増重倍率は1.4〜3.3倍の間で平均2.4倍でした。最も増重倍率の高かった再捕エビは放流時体重が88gだったものが再捕時は290gとなっていました。また、 一番体重が重かった再捕エビは371g(放流時体重140g)ありました。
再捕率は、平成26年度再捕イセエビの5尾を含めて22%でした。
一方、日南市大浦地先放流では、平成27年4月までの漁期内の再捕はなく、9月の漁解禁から9月17日までに25尾が再捕されました。
増重倍率は0.9〜1.7倍の間で平均1.3倍でした。最も増重倍率の高かった再捕エビは放流時体重が73gだったものが再捕時は127gとなっていました。再捕場所はすべて大浦地先で、再捕率は12%でした。

図5 日南市宮浦地先放流再捕イセエビの増重倍率

図6 日南市大浦地先放流再捕イセエビの増重倍率
FISHERIES EXPERIMENT