水産試験場
鮮魚・水産加工品の流通に関する注意事項 経営流通部

はじめに

近年、漁業者自らが加工・販売を行う6次産業化が進められており、道の駅や直売所での鮮魚、加工品販売が盛んになってきています。
一方、消費者の食の安全、安心に関する関心はますます高まっており、私たち水産関係者は消費者に提供する食品に関する材料、製造、流通に責任があるという認識を持たなければなりません。
このような中、消費者にとっては、食の表示制度は食の安全・安心を考える上で重要な情報源となっていることから、今回、水産物の流通と加工食品の表示方法について、大まかですがとりまとめましたので紹介します。

流通に関する注意点

漁獲から水揚げ、流通といった一連の工程の中で、食品の安全性を確保するためには衛生管理を徹底して行う事が大事です。具体的には、魚は漁獲したらすぐに10℃以下まで冷やす、水揚げ中も氷を切らさない、市場では床に直接置かない等です。こういった取組はマニュアル化されていないことが多く、その程度は各人で異なります。こういった取扱いのムラをなくし、安全性を確保する手段としてHACCPやGAP、トレーサビリティなどがあります。
HACCP、GAPは生産過程でのリスク回避を行う目的で作られるもので、トレーサビリティは、生産履歴の明確化を目的に行われるものです。今回は、トレーサビリティを取り上げます。

トレーサビリティとは

「トレーサビリティとは、物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態をいう」と定義されています。食品の取扱いの記録を残すことで、食品の移動が把握できるようにする仕組みのことです。この記録を行う事で、食中毒などの事故が起こった際にその商品がどこから仕入れて、どこへ売ったのか等を調べることができます(図1)。

図1 トレーサビリティシステムの活用(農林水産省HPより抜粋)
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