水産試験場
本県近海まぐろ延縄船の漁場選択と収支分析

はじめに

営流通部では、漁業収益の向上のため、国のもうかる漁業創設支援事業の検証や取組支援等を行っております。今回は、漁獲量の減少、燃油経費の増大の中で厳しい経営状況となっている近海まぐろ延縄漁業の経営改善方策の検討を目的に、漁船規模や操業海域別の収支の算定・分析を試みました。

分析手法の概要

分析はトン数階級を、 14トン階級( 13〜14t)と 19トン階級( 16〜19t)に分けて、それぞれおこないました。 以下分析方法の概要を表に示します。
船規模(トン数階級) 14t階級(13〜14t)と19t階級(16〜19t)の2階級
分析区画単位 5度区画
収支計算 月別区画別漁獲量平均×漁協販売単価
※漁獲量は漁獲成績報告書データ(2010〜2012年)を使用
支出計算 固定費(人件費、減価償却費等)+燃料費(移動時及び操業時毎の一定消費量により計算)
※重油価格(漁連平均単価2012年)を使用
収支計算 区画毎の 収入+支出
その他条件 区画毎の延べ隻数2隻以下のデータは使用せず
漁場(対象区画)と水揚港までの距離は大圏航海算法により算出

14トン階級 月別収支分析結果

1〜3月 総水揚数量は年間でもピークだが、魚種組成はビンナガが7割以上で総単価は低い。
区画収支では、近場漁場が中心であるがほぼ赤字区画であり、赤字幅も大きい。
4〜6月 総水揚数量は4月から急に下がり、魚種組成は4月以降キハダ主体になり、総単価は1〜3月に比べ上昇する。区画収支では日向灘、沖縄周辺区画で黒字区画となり、黒字幅は大きい。
FISHERIES EXPERIMENT