水産試験場

採卵・媒精・卵消毒

表1 採卵結果概要 (クリックで拡大)図2 受精卵
採卵は、ホルモン注射後2日後と3日後に腹部圧搾により行いました。
また、精子については雄親魚のウイルス検査を行い、陰性魚の精子でより活性が高いものを用いました。
採卵した卵は人工卵巣液で洗浄後、湿導法により媒精を行いました。
媒精後の受精卵は、予め恒温室内において水温を23〜24℃に調整した卵管理水槽に収容し、20〜22時間流水弱通気で管理し、胚体形成確認後に通気を止め、卵管理水槽内で浮上卵と沈下卵に分離させ、浮上卵を回収しました。回収した卵は、事前に準備しておいた0.5ppmオゾン処理海水で1分間かけ流しで消毒しました。
このような方法で、10月23日〜25日の3日間で37尾の活魚のうち22尾の雌から合計で約19万粒を採卵し、約14万粒の受精卵が得られました(表1、図2)。
このうち約6万粒を種苗生産試験に供し、約8万粒を(一財)宮崎県水産振興協会に提供しました。

種苗生産試験

10月23日に回収した受精卵を用いて、仔稚魚飼育試験を行いました。
5kLコンクリート水槽に収容し、飼育当初は自然水温で、以後23〜24℃に加温しました。
また、初期の浮上へい死を防ぐため24時間照明を点灯しました。収容翌日には水槽内でふ化仔魚が確認でき(図3)、約16,000尾がふ化しました。
ふ化後3日齢から生物餌料としてS型ワムシを、21日齢からアルテミア幼生を給餌し、それぞれの餌は市販の栄養強化剤によりDHA等を強化しました。
また、26日齢から配合飼料も給餌し徐々に量を増やしていきました。全長の推移を図4に示しました。ふ化時2.3mmのふ化仔魚は、30日齢で約10mmに達し、50日齢で約25mmに成長しました。
また、昨年度課題となった開鰾率向上対策として、15分毎のエアーレーションの開け閉めを4〜5日齢の間24時間、6〜7日齢は8時から18時の間行うとともに、油膜取り装置を改良し4〜10日齢まで油膜除去の徹底に努めました。その結果、6日齢での開鰾率が100%となり、取り上げ時の正常率も大きく改善されました(表2)。
最終的に、48日齢で稚魚563尾を取り上げることができましたが、ふ化からの生残率は3.5%と低く今後更なる飼育技術の改善が必要と考えています。


表2 種苗生産試験結果概要 (H25〜26) (クリックで拡大)


図3 ふ化仔魚(0日令)

図4 全長推移 (クリックで拡大)

図5 取り上げ後の稚魚
FISHERIES EXPERIMENT