水産試験場
写真3 水揚げ2日後のブリ魚肉の色の違い
(左:対照区、右:ヘベス添加区)
(東臼杵農林振興局提供資料より)
養殖ブリの品質向上や健康性向上を目的に、柑橘類の残渣や果汁をブリ養殖飼餌料に添加する試みは県外各地で「ユズ、カボス、ミカン、イヨカン等」で試みられています。今回実施した試験結果は、他県の研究結果と概ね一致していたものの、「ヘベス添加区」のブリ魚肉から柑橘類特有の香気成分については感じられませんでした。その理由としては、今回供試した乾燥残渣については、製造工程の不具合により平成25年度製造した乾燥残渣の入手ができず、やむを得ず平成24年度に製造し常温保存していた乾燥残渣を使用したのが原因と考えられました。平成24年の製造時には柑橘類特有の強い香気を発していた乾燥残渣が、試験時には柑橘類特有の香気成分は一切感じられず、約1年間の常温保存過程で香気成分は消失してしまったものと推定されました。しかし、約1年間常温保存していたヘベス乾燥残渣でも前述の効果については認められたことから、少なくとも1年程度は効果が保持されるものと考えられました。
以上の結果から、餌料へのヘベス乾燥残渣添加は肉質の褐変を遅らせるなど養殖ブリの高付加価値化につながると考えられました。

終わりに

更なる県産特産柑橘類の有効利用による養殖魚の品質向上に向けた取組を進めるため、平成26年度については、県産特産柑橘類で一番残渣量が多く安定的に入手可能な「日向夏」を使用し、カンパチでの試験を現在実施中です。この結果については、またの機会に報告させていただきます。
FISHERIES EXPERIMENT